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「 コンビニでもいこうか 」
『 はい 』
遠くにあるコンビニへ向かって、ゆっくり歩き出す。
それと同時に、ふたりのため息が重なる。
『 …さて、どうしましょうかね 』
「 さすがに徹夜で徘徊はきついよなあ 」
『 僕はAさんと一緒やったら、なんでも嬉しいっすよ 』
なんだかわたしと、温度差のある小瀧くんをつれて、二人で考えながら、コンビニへ向かって歩き出した。
その途中、
『 ホテルでも行きません? 』
小瀧くんのすっ飛んだアイデアは、わたしの血の気を引かせて、
冷たい手をさらに真冬に陥れた。
「 は? 」
「 絶対やだ! 」
小瀧くんとホテルなんて、なに仕出かすか分からない。
それだけは絶対に嫌だと首を振ったけど、「僕寒すぎて死にそうっす」なんて言われたら、返すことなくなる。
「 …道、ほんとはわかるけど、ホテル行きたいからとかじゃなくて? 」
『 違いますよ! 』
「信じてくださいよ!」って大きな声で言う彼はなんか怪しいけど、
他にどうしようもできないもんなあ。
「 …わかった、よ 」
『 えっ、ほんま!? 』
なんでそこで喜ぶの。もうする気満々じゃないか。
「 なんかしたら、一生逢わない! 」
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『 ほんまにここなんすか 』
わたしたちが残り僅かの充電を頼ってやって来たのは、少し古いビル。
入ってすぐエレベーターがあるけど、その雰囲気的に、どうしても気が気じゃない。
「 …マップで調べたらこの辺だったし、ここしかホテル無さそうだし… 」
わたしのケータイは最後の力を振り絞って、ここに連れてきてくれた。寝場所があるだけでもありがたい。
「 入ろう、小瀧くん風邪引いちゃうよ 」
『 そうっすね 』
先頭に立ってくれるあたり、小瀧くんは男前だ。少しかっこいいって思う。
「 …え、ここ、今営業してんの 」
『 分からへんけど、取り合えず上行ってみましょう 』
不気味なエレベーターに乗り込んで、薄暗いビルの上をいく。
…と、その時、
がこんっと音がして、
「 きゃっ、 」
『 えっ 』
エレベーター内がぐらついて、わたしは足元を崩した。
「 …え、なに? 」
『 エレベーター、止まったんちゃう? 』
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りぃな - この作品、めっちゃ好きです。小瀧くんの一人称がおれになるときが…何て言うか、やばいです (2020年10月24日 22時) (レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - えむさん» ありがとうございます〜!!遅くなってしまってすみません! (2019年1月22日 23時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - なんか、花男っぽいですね!たのしいです (2018年9月7日 20時) (レス) id: 3391b849bb (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - ミルキァさん» ありがとうございます〜!!アンチがいるんですけどそう言ってくださる方がいるだけで嬉しいです!(;;)ありがとうございました!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - (さら)さん» ありがとうございます!続きは書く予定はありません(;;) (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楓花 | 作成日時:2018年6月10日 23時