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日本に戻る1週間前。
連日、バタバタとしていた俺の代わりに完璧に荷物を準備しといてくれる彼女を見て、
やっぱり、手放せないなんて思ったり、
パッキングは自分でするから。と言うと、
彼女は、こだわりだもんね〜なんていたずらっ子のように笑う。
その流れで、もちろん日本に着いて来てくれるよね?
というと彼女は、少し間をあけてから、行かなきゃダメ?とそう言った。
「残りたいの?」
「・・・・帰っても祐希は代表合宿で一緒にはいられないでしょ。だったら、ここに残っても・・・・。」
「確かに、一緒にはいられないけど、俺はAさんに、ワールドカップの試合を見にきてほしい。」
連れて戻ったら彼女に言おうと思っていた言葉。
俺たちはこれまでずっとバレーの話を避けて過ごしてきた。
でも、ここではっきりさせたい。
俺は、この先もずっと隣にいて欲しい。
だから、俺が頑張る姿を一番近くで見て欲しい。
「・・・・・・正直、まだバレーを見れるかわかんない。」
「無理しなくていい。でも日本には一緒に帰ってほしい。」
イタリアに残すのは不安なことを伝えると、
彼女は、少し間を置いて、
考えさせてほしい。
と言った。
「Aさん、」
「なに?」
「この先、何があっても俺はAさんの選んだ道を応援するし、俺がずっと支えるよ。
貴女の夢を背負ってでも俺は走れる。
頼りないかもしれないけど、俺を信じてほしい。」
そう言うと彼女は、うん、と小さく頷いて、
1人にさせて、と部屋を出て行った。
俺の想いは伝わったはず。
話したことに後悔はなかったが、
次の日、彼女は
『ごめん。祐希。やっぱりイタリアへ残りたい。』
とそう告げられた。
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いろは(プロフ) - ナオさん» 読んで頂きありがとうございます!大変な思いをされたんですね。この話はもちもんフィクションですが、ナオさんが大切な人と幸せでありますようにと、願っています。逆サイドの話検討してみます! (2020年3月15日 9時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
ナオ - とても楽しく読ませて頂きました!!これ、逆サイドの話しも読んでみたいです(* ´ ▽ ` *)私、彼と同じスポーツしてるのですが、事情があって私だけ辞めてしまったんです。おまけに今、左膝後十字靭帯損傷していて、めちゃ重なって思えて、余計刺さりました。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: d85b846b30 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - ユウカさん» コメントありがとうございます(ToT)嬉しいです!(^^)!次回作も頑張るのでまた読んで下さい(>_<) (2019年12月6日 22時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ - 更新お疲れ様でした!本当に最高でした、何回も読み返そうと思います!次回作も楽しみです! (2019年12月6日 20時) (レス) id: 18559518cb (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - ユウカさん» コメントありがとうございます(^^)励みになります!更新頑張るのでまた見て下さいね!(^^)! (2019年12月1日 6時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろは | 作成日時:2019年11月24日 3時