躓く石も。 ページ31
ガープさんが、状況が理解出来ずに呆然と佇む私の横に、ドカリと座る。
「エースがな、Aは無事か、手ェ出したら許さねェってあまりにもうるさくてな！嬢ちゃんは、白ひげ海賊団にいたんじゃろう？」
『はい』
「本当にそれだけか？」
『え、』
突然の質問に、固まる私。
「監獄にいれないで海軍本部に軟禁してるってのがどうにも納得いかん！それにあのセンゴクの顔は絶対何かを隠しとるんじゃ！」
げ、元気のいいおじいちゃんだなぁ……。
真っ直ぐ感じが、なんとなく、エースに似ている気がする。
「まあいいわい！せんべい食うか？」
『え、あ、ありがとうございます。』
ずいっとおせんべいを半ば強制的に受け取らされ、慌ててお礼を言う。
……というか、エースに会わせてくれる、なんて…
『なんで、エースと会わせてくれるんですか？
……エースの味方なんですか？』
「わしは、海兵。海賊を罰するのが仕事じゃ。」
それならばなぜ。そう目で訴えかけると、ガープさんは海を見て目を細めた。
「じゃが、孫の願いも叶えてあげたいんじゃ。」
そうだ、この人は……エースの処刑台に一緒にいた人だ。そして、前に…
『エースから聞いたことがあります。海軍に"ジジイ"がいるって。』
「……！そうか、エースがそんなことを…」
緩む頬を抑えきれずニマニマするガープさんを見て、なんとなく、なんとなく思い出してきた。たしか、この人はエースの処刑に葛藤してたよね。
この人にとって、海軍の正義とは、孫を想う気持ちを超えるものなのだろうか。
「…む、見えてきたわい。しばらくまた隠れといてくれ！」
またもやひょいと抱えられ、マントで前が見えなくなる。そこからしばらくは、もう、本当に怒涛の勢いで揺られ続けた。いきなり寒くなったり暑くなったり人の悲鳴が聞こえてきたり最悪としかいいようがなかった。
(エースに会えるんだから、耐えなきゃ。)
「ついたぞ！」
ようやくマントが取られ薄暗い空間が開ける。
その途端むっと香った濃い血の匂いに顔を顰めて、暗い牢屋の奥に蹲る影を見つけた。
「また来たのかよジジイ……」
ジャラジャラと鎖に拘束されて、ボロボロで、血だらけのエースに、一瞬息が止まる。私が、どれだけいい待遇の中にいたのか、ようやく気付いた。
『えー、す……っ！』
私の声に一瞬ビクリと身体を震わせたエースがバッと顔を上げる。
「A？！」
その目には、驚愕の色が浮かんでいた。
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アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (
レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 凄く感動しました、エースとオヤジを生存させてくれてありがとうございます (2023年3月23日 7時) (レス) id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
