異邦のもの。 ページ19
「ちょっとごめんね」
小さな声でそう言われて、ガチャン、と手錠が嵌められる。ひやりとした感触と重みは、私の人生で体験することはないと思っていたもの。
「MARIN」と書かれた制服をきている男の人は、ティーチさんに連れられてる私を見て怪訝そうな顔をしたが、上司らしき人に睨まれて慌てて私に手錠をかけた。
無抵抗の私を見て、海兵さんの眉が少し下がる。
私が着ているセーラー服と似ている彼らの制服は、画面の向こうで、敵として薙ぎ倒されていたイメージのもの。
少し気遣わしげに向けられる視線を感じて、この人はきっといい人なんだろうと思う。
明らかに危険度も低そうで大して歳もいってなく全くといって生気のない私に、手錠をかけるのを戸惑うような、善良な人間。
「つれてこい」
「はっ！」
海兵さんに促されるまま歩き出す。前にティーチさんとなんか偉そうな人、その後ろに私と海兵さん、といった感じだ。
じろじろ、ひそひそ。
前にいるティーチさんに侮蔑するような視線が投げられたあと、その後ろにいる私に興味と好奇が入り交じったものがぶつけられる。
それらから逃げるように視線を落として歩いているあいだに、大きなドアの前にたどり着いた。
コンコン、と偉そうな人がノックをし、「入れ」という声が聞こえた。
「失礼します！黒ひげ海賊団船長が例の少女を連れてきました！」
「ご苦労。下がっていいぞ。」
「はっ！」
ここまで私たちを連れていた人達がビッと敬礼して、去っていく。
去り際に心配そうな目でこちらを見つめてきた海兵さん。ピンク色の髪は少女戦隊モノみたいだなぁ、なんて。
顔を上げると、机のところに座って腕をくみこちらを見据えるおじさん。
…なんで室内にヤギがいるんだろう。なんで頭の上にカモメがいるんだろう。ペット特殊すぎじゃない？突っ込んじゃダメなゾーン？
「……その少女か。」
「おうよ。ほれ、これが証拠だ。」
見慣れた鞄が投げられた。私の世界を証明するものが入ってるもの──私の学生鞄だ。いつの間に持ってたんだろう。
「……その少女とこれはこちら預かりにさせてもらう。七武海の件はまた後を追って連絡する。」
「いい返事を楽しみにしてるぜ！」
「ゼハハハ！じゃァなA！」と笑ったティーチさんが部屋から出ていく。
パタン、とドアが閉じられたあと、しん、と部屋は静まり返った。
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アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (
レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 凄く感動しました、エースとオヤジを生存させてくれてありがとうございます (2023年3月23日 7時) (レス) id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
