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何も会話がない時間が過ぎる
そろそろ声をかけるため、繋いだ手を離そうとした瞬間
直哉は何も言わず、空いた手で後頭部を掴みぐっと距離を詰め
額と額を合わせる
視界いっぱいに直哉の顔がある
直「Aちゃんに、今まで辛い思いさせて悪かったな」
『そんなこと…』
直「長かったなぁ、やっとや」
『はいっっ泣』
辛いことの方が多かったこの数年を労う優しい声
流すまいと思っていても、自然と流れる涙
直「せやけどもう終わりや。俺の時間も人生も、全部お前とや」
『私と……』
直「これからは2人や。」
『私、耐えてよかったです。生きててよかったっ……泣』
そのまま額に短く口づけを落とした
何年離れても、何度隔てられても決して譲らない想いがあった
傷も、涙も、遠回りした時間も
すべては"禪院直哉"の隣に立つためのものだった
これから先も、穏やかな日ばかりではないだろう
嬉し涙だけじゃない日も訪れるに違いない
それでもAは直哉の隣を選んだ
強引で不器用で、決めたら譲らないこの男との未来を
繋いだ手を離さず、共に歩く覚悟があるから
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これからは、二人で歩いていく
きっとその未来が、明るいと信じて
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作者名:本あい | 作成日時:2026年1月5日 23時


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