◇1387.生涯一緒にいたい人 ページ38
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僕はすぐに持っていた食器を調理台に置いて、シルバー先輩から包丁を没収する。
シルバー「ハッ。また俺は居眠り……?」
『刃物持ちながら居眠りすんな!』
シルバー「す、すまない。
……油断するとすぐこれだ」
『寝るなら持ってる物置いてから寝ろ!』
リドル「そういう問題ではないと思うよ」
やはりまだ一人立ち出来るとは思えない。
普通に怖い。
数年経った後にニュースで自宅で料理している最中に居眠りしてしまい、持っていた包丁で顔を刺してしまった、とか流れたらどうする。普通に悪夢だろ。
『シルバー先輩に一人暮らしは向いてなさそうですよね』
シルバー「うっ……」
『実家を離れるならやっぱり、誰かと一緒に同居したらどうです?』
シルバー「そしたらますます一人立ち出来そうにないだろ……」
僕は出しっぱなしの水を止めるため、蛇口を捻る。
『それなら生涯一緒にいたい奴と同居するっていうのはどうです? そしたら同棲になりますけど』
シルバー「生涯一緒にいたい人か……」
そう言うと、何故かシルバー先輩は僕を凝視し始めた。
謎に思いながらも、僕は引きつった笑みで『……な、なんですか?』と問う。
シルバー「……俺が生涯お傍でお守りしたいと思うのはマレウス様だけだ」
『そのマレウス様と同居するのか君』
シルバー「そしたらセベクがうるさいだろうな。あいつも一緒に……いや、そうするならリリア先輩も一緒にいたほうが心強い」
『一人立ちからどんどん遠ざかってない?』
ハッ、と気づくシルバー先輩。
この忠誠心高め野郎が。
つくづく呆れてしまうが、それがシルバー先輩なのだろう。良いところもあるが悪いところもある。しかし、他の奴らと同様、心の底から嫌いにはなれないのだ。
この学園の奴らは本当に不思議な魅力を持ってる奴が多い。
「あ! ねえねえ、シルバーくん、嬢ちゃん!」
シルバー「なんでしょうか」
「さっきは見せ場を取られちゃったから電気圧力鍋の活用法について説明させておくれよ」
『(根に持ってら)』
シルバー「はい、ぜひお願いします」
僕とシルバー先輩はビーフシチューが出来上がるまで、食堂のおばけさんの講話を大人しく聞くことにした。
「電気圧力鍋にはたくさんメニューが登録されているけど必ずしもレシピ通りに作らなくても大丈夫。具材や調味料を変えれば、自分好みにアレンジした料理が作れるんだ」
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冬雪(プロフ) - 瑠奈さん» コメントありがとうございます。笑ってもらえて嬉しいです (2022年7月31日 22時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - ジグソーパズルwww (2022年7月31日 21時) (レス) @page48 id: f6c02603c1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - パラディさん» すみません。何故かリンクできなくなっていましたね。リンクできるようになったので良かったらどうぞ (2021年4月17日 20時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
パラディ - 続きはいつ投稿されるでしょうか…?続きが気になってしまって…でも無理せず頑張って下さい! (2021年4月17日 20時) (レス) id: 4799a50d98 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - アヤさん» コメントありがとうございます。頑張ります (2021年4月12日 22時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2021年2月24日 0時