◇183.満更でもない ページ40
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『あ』
廊下を歩いていると、見慣れた後ろ姿を見つけた。
こっそり近づいて尻尾を握ろうとすれば、そいつは振り向く。
ジャック「……今、何をしようとした？」
『え？ナンノコトダロウナー』
咄嗟に両手を背中に隠す。
ジト目で睨まれるが誤魔化す。
『見慣れた後ろ姿を見つけたから声をかけようとしただけ』
ジャック「本当かよ……」
『君って警戒心強いよなー。僕ほど害がない奴なんてイヴ含めてこの世界にはいないよ』
ジャック「嘘つけ」
『本当のことなのに』
チラッ、とジャックの尻尾を見ると、若干元気なさそうに力なく垂れている。
え、そんなに嫌だったの？と、ジャックの顔を見ようとすると、普段ピンッ、と立っている耳も若干、垂れている。
本当に、若干。
『そ、そんなに触られるの、嫌でしたか？』
ジャック「は？」
『ご、ごめん。嫌だったなら今後一切触らないようにする！ていうか、２メートル以上離れる！』
ジャック「いや、そこまでしなくていい」
『だって耳と尻尾、若干垂れてる』
ジャック「……あー……」
ガシガシと頭を掻くジャック。
ジャック「……別にお前が気にする事じゃない」
『そなの？』
ジャック「少し、気に食わない事があっただけだ」
『僕に尻尾と耳を触られる以外で？』
ジャック「ああ」
『……なーんだ！』
『嫌われたのかと思ったよー』と笑えば、ジャックは目を張り、尻尾を逆立たせる。
『んで？』
ジャック「？」
『その��気に食わない事��は解決出来そうなの？』
ジャック「いや、どうだろうな」
『そっか。愚痴なら聞くからね』
ジャック「……」
『結構前にエース達からリドル先輩の愚痴を沢っ山聞かされたから愚痴を聞くのは慣れてるんだ』
ジャック「そうか……」
まだハーツラビュル寮の寮長がリドル先輩だということを知らない時だった。
エースがうちの寮に泊まりに来て、夜遅くまで愚痴を聞かされたことをちゃんと覚えてる。
『僕じゃ嫌ならイヴとか』
ジャック「お前には関係ないって言ったはずだが」
『あ、そっか』
ジャック「……でも、ありがとな」
そう言ったジャックの顔は微笑を浮かべていた。
また無意識に誰かの役に立とうとしてしまった。
誰彼構わず優しくするのはやめようと思っていたところなのに。
『感謝されると満更でもなくなっちゃうんだよな、僕……』
ジャック「？」
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冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます。これからもご愛読の方をお願いします (2020年4月17日 15時) (
レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 161話で、八つ当たりはジャックすればいいになってました (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - とっても面白くて、何回も読み返したくなる面白さ･･･ヤバいです！ (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます (2020年4月16日 18時) (レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 186話でレオナがレオナ先輩ってさいごにいってました (2020年4月16日 17時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年4月12日 3時
