◆180.友達だから ページ37
リドル.
リドル「(……今、何時だろう)」
意識が戻ると、風邪特有の倦怠感に吐き気がした。
これは本格的かもしれない。
何故か全身が汗ばみ、喉も痛い。
目を開けるのですら億劫。
リドル「(……風邪なんて、最近引かなかったのに)」
すると、誰かの足音が聞こえた。
……誰だ
『あーあ。氷嚢の氷溶けちゃってんじゃん』
リドル「!」
『ちょっと待っててくださいねー』
手探りでAを探す。
力が出ない手でAのカーディガンの袖を掴む。
リドル「A……?」
『ん?はいはーい、Aですよー』
『ちょっと待っててくださいね』とボクの手を優しく離すと、冷凍庫から氷を取り出し氷嚢に入れるとボクの額に乗せる。
『本当に風邪だったんですね。エース達が心配してましたよ』
リドル「……」
『5限と6限は休めるようにケイト先輩が裏を回したので、先輩はゆっくりベッドに体を沈めといてください』
リドル「(裏って……)」
『つっても先生にほうこくしただけなんだけど』とベッドの横にあった椅子に腰掛けるA。
リドル「……どうして」
『どうしてって……みんなリドル先輩のことをなんだかんだ大切に思ってるからなんじゃ』
リドル「キミは……」
『僕?』
リドル「キミは、ボクのことをどう思ってるの?」
変な子だ変な子だと思ってはいたけれど、何故そこまでしてくれるのだろうか。
不思議で仕方ない。
『友達だよ』
リドル「……!」
『僕はイヴ達への好きと同じくらい、君が好き』
リドル「……」
『だから心配とか、辛い時に傍にいてあげるのは当然のことなんですよ』
リドル「……友達だから?」
『うん』
そう言ってAは無邪気に笑った。
……その笑顔が、大好きなんだ
初めて、女の子の友達が出来て戸惑ったりはしたけれど、Aはそんなこと気にさせないくらいにボクを安心させて、笑いかけてくれる。欲しい言葉もくれる。
それが、凄く嬉しい
リドル「……キミは本当に優しいね」
『そうかな?』
リドル「キミが優しいのは、ボクにだけかと思ったけど、本当は誰にでも優しいんだね」
『……』
リドル「自惚れちゃったじゃん」
ボクは拗ねた振りをしてそう言うと、Aは珍しく頬を赤く染めていた。
『な、なんか、スミマセンデシタ……』
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冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます。これからもご愛読の方をお願いします (2020年4月17日 15時) (レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 161話で、八つ当たりはジャックすればいいになってました (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - とっても面白くて、何回も読み返したくなる面白さ・・・ヤバいです! (2020年4月17日 11時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - アルファさん» ご報告ありがとうございます (2020年4月16日 18時) (レス) id: e3ba6a1386 (このIDを非表示/違反報告)
アルファ - 186話でレオナがレオナ先輩ってさいごにいってました (2020年4月16日 17時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2020年4月12日 3時