【刀剣乱舞】妖物語 (ページ29)

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120.大将ページ29

薬研.

「ねー薬研ー」

「んー？」

「大将が苦しんでるってホントー？」

珍しく信濃から＂大将＂という言葉を聞いて驚いた俺は調合する手を止めて振り返る。そこには後藤もいた。

「反大将派のお前達でも大将が病気で倒れたとなると少しは気になるんだな」

「勘違いしないでよ。ただ、このまま死んで、また政府から変な審神者が送り込まれるのは困るだけ」

「たしかに。大将は病気だが死にはしない。一般的な風邪だ」

「ふーん」

そして俺は違和感に気付く。

何故かモジモジしたり頬を掻いたり、落ち着かない様子の信濃と後藤の様子に俺は苛立ちを覚える。

「まだ何か用か？」

「べっつに～？」

なんなんだ

「薬研ー」

すると今度は乱が俺を訪ねて来た。

「なんだ？」

「もう少しで昼餉だから主さんのお薬ちょ～だい」

「わかった」

大将は俺の薬を飲むのは初めてだったから無味だが効力が弱いものを処方していたが、今度は即効性があるものにしよう。しかし味は保証出来ん。

「信濃と後藤は何しに来たの？」

「え、いや、その……」

「そいつら珍しく大将のこと聞いてきたと思ったらモジモジして気持ち悪りぃんだよ」

「ちょ、薬研！」

「へ～」

すると乱は何故かニヤニヤと笑む。

「主さんのことが気になるなら直接主さんのところに行って声でもかけてくればいいのに」

「……それが出来たら苦労しないよ」

「なんで？」

「敵視していた奴がいきなり大丈夫か？なんて心配されたら大将、きっと、俺達のこと……」

「主さんはそんな人じゃないよ」

信濃と後藤は真剣に悩んでいるらしい。

どっちぼーるの件で大将の人の良さというのを見てしまった後藤と信濃は少しの間考えていたらしい。

「主さんはどんなボク達でも受け入れてくれるんだって。前田と平野が言ってたもん」

「なんだ、あいつらも大将に叱られたのか？」

「正確には前田らしいけど」

大将はやはり面白い。

なんでそんなに自分より俺達に一生懸なのかは理解出来ないが大将らしいといえば大将らしい。

「いい機会だ。お前らも大将に話してくりゃいいじゃねぇか」

「だから俺達にとっては簡単じゃねぇんだって！」

「そうだよ！きっと、俺達が心配したって大将は喜ばないだろうし、俺達のこと嫌いだと」

信濃がそこまで言うと乱は信濃と後藤に拳骨を振り下ろした。

凄い音がした。

「主さんがいつあんた達に嫌いって言ったのさ！」

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