78.溢れ出す ページ32
堀川.
主さんは酷く苦しそうに、怒ったように、見たことない表情を浮かべながら涙を流していた。
「主さん……」
『たしかに……三人目の審神者は、最悪です。最低です。貴方達に滅多刺しにされて当然だった。でもだからって、貴方も死ぬ必要なんてどこにもないじゃないですか！』
「……これは、僕の覚悟で……」
『それなら私だって覚悟出来てますよ！』
「なら……」
『でも私の覚悟は貴方を受け入れる覚悟です！』
「……！」
『誰に何を言われようと貴方は私の堀川国広です！なのに……どうしてっ！どうして……』
主さんは顔を手で覆って泣いてしまう。
……僕は、どうすればいいのかな
彼女の涙を拭えばいいのかな
僕は彼女を泣き止ませようと彼女の手を掴むと、主さんの潤んだ双眸が僕を捉える。
そして主さんは僕を抱き締めた。
「主、さん？」
『帰りましょう？堀川さん。本丸に』
刹那、主さんの霊力が溢れ出す。
これ程までに膨大で強引で、僕の神域に干渉しようとしているのに温かくて柔らかくて、安心する。
「でも、怒られちゃうよ」
『そしたら私も一緒に謝ります』
「……兼さんにもっと嫌われちゃうよ」
『そしたら私も一緒に嫌われます』
主さんの足元から草木が生えていく。花も咲き乱れていく。心地よい風が吹く。青と白と透明しかなかった世界が主さんの霊力で染められていく。
「……本当に……貴女って人は……」
僕は涙を流した。
悲しくて流しているわけでなく、嬉しくて流しているのだ。
僕は主さんを抱き締め返す。
僕は僕を顕現してくれた主に依存していたのかもしれない。でも彼のことは��思い出��にしよう。
「……貴方は、僕の主になってくれるんですか？」
僕がそう問えば、主さんは笑った
『はい』
……安心した
僕は目を閉じた。
視界が真っ暗になる。
「＿＿＿＿＿……堀川も主のことを信じたんだね。別に僕はそれでいいと思うよ。刀が持ち主に忠誠を誓うのは当たり前だと思うし、それが僕達にとっての運命だと思うよ。あ、でも現世の主は僕達のこと人間だと思ってるんだよね？じゃあ僕達自身はなんなのかな？人間？それとも刀？……まぁ、今はどうでもいいね。二人は戻って来たことだし、これで一安心ってやつかな？堀川、おかえり。主もお疲れ様だね。今は、ゆっくりおやすみ」
安定くんの声が聞こえた気がした。
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
