62.炎 ページ16
骨喰.
��炎��が全て消してくれる。
熱いけれど、建物も記憶もこの身でさえも、朽ちるのだ。燃えて仕舞えば何も残らない。炎の海に飛び込んで仕舞えば楽になれるだろう。
『それでいいんですか?』
炎の中、声が聞こえた。
振り返ると女子が立っていた。燃え盛る炎のせいで顔が見えないでいると女子がこちらに手を伸ばして俺の頬を包む。
『死んで楽になるのは現実逃避ですよ』
「俺には炎しかないんだ」
『自分には一つしかないなんてないよ』
「……嘘だ」
『じゃあなんで、』
貴方は兄弟を覚えてるの?
刹那、頬に水のようなものが落ちる。
目を開けて、目の前には涙を流す主がいた。不躾だとか思われるかもしれないけれど、色違いの双眸から零れ落ちる涙は綺麗だと思えた。
普段隠れている主の片目は鮮やかな真紅で目が離せなかった。
「……主」
『お願いがあります、骨喰さん』
「……なんだ」
『今だけは……私から逃げないでください。貴方は少しでも私の霊力を受け取らないと消えてしまうのです。これは他の刀剣男士にも言えることです』
「俺は……」
『霊力不足で倒れてしまったのです。追いかけて来てみれば骨喰さんは外で倒れていますし、私はこんのすけくんに助けを求めて原因を知った時、私は本当に何も知らないということが怖くて仕方なくなりました』
「��知らない��が怖いのか？」
『怖いに決まってるじゃないですか！私の無知のせいで骨喰さん、死んじゃうとこだったんですよ！？そしたらずっと会いたがっていた鯰尾さんにも悪いですし……っ……私……もう、』
すると一気に顔を歪ませた主は両手で顔を隠して肩を大きく上下に揺らしながら嗚咽を漏らす。
『不幸せになんか……させたく、ないのに……っ』
「主……」
俺は上半身を起き上がらせ、主と向かい合うように座る。
主は主なりに頑張っていたというのか。
主の涙が畳に落ちてシミを作る。こんな時、どうすればいいのかわからない。
「……すまない、主」
『……え？』
「俺も怖かった。俺はあんたを傷つけてしまった。だからまた傷つけてしまうのが怖かった」
俺がそう言うと、主は顔を上げた。
涙で濡れた双眸には俺が映っていた。すると視界が霞む。胸が苦しくて息がうまく吸えない。
『……それは違いますよ、骨喰さん』
「……どういうことだ？」
『貴方達、刀剣男士を傷つけているのは私なんですから』
.
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
