51.春川宙 ページ3
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魔法使いは本当にいるんだろうか
幽霊や妖怪は信じるが魔法使いや妖精などファンタスティックなキャラクターは信じられていなかった僕だがそんな疑心暗鬼は彼によって打ち砕かれる。
「今日のAは水色な〜」
『……水色？』
「宙の好きな色な〜」
春川宙。相手のオーラが見えるという魔法使い。
色が見えるなんてとても信じ難い話だったがこれは以前の話、現在進行形で女子生徒ナンパ中の羽風薫に濃いピンクと指摘したり鬼龍紅郎に注意され絶賛落ち込み中の南雲鉄虎に絶望的な青色と言うのだ。
いや、僕も雰囲気的に察することが出来るさ
しかし春川宙が無邪気に真剣に言うため、これ以上疑うことが出来なかったのだ。
「この頃のAは色が出てるから安心したな〜」
『前の僕は色が出ていなかったのか？』
「最初に会った時のAの色は��無色��でした」
『無色？』
「無色は何にも興味を示さなかったり〜なんの感情も表さなかったりする世にも珍しい色です」
��世にも珍しい色��
以前春川宙は人にはそれぞれ必ず色があるとは聞いたことあるが当初僕に色がなかったとしたら世にも珍しいと言われるのは頷けるが同時に解せない。
ちゃんと僕には心がある筈だ。どこぞのギャグアニメの世にも珍しい六つ子の末弟よりはドライではない筈。
「だから宙はAのこと気になりました」
『世にも珍しい色の人間だからだろ』
「そうです！」
『なら色が出始めた僕にはもう飽きたか？』
「そんなことないです！宙の好きな色の水色を出す人もなかなかいないからな〜」
そう言って僕の首に手を回し、互いの距離を短くしていく春川宙は何故か恍惚とした表情を浮かべる。
「ず〜っと見ていたいです。宙の好きな色……」
かつてない程の危険を察知した瞬間だった
放課後の人気のない廊下に僕と春川宙の二人だけ。しかしいつ人が通るかわからない。
「……あ」
『？』
「紫に変わったな〜……A、なんか焦ってる」
『よくわかったな偉いぞ春川くん。この状況は他人の目には毒であり僕には猛毒だ。悪いが離れてくれないだろうか』
そう言うと素直に離れる春川宙。
一先ず安堵。
「Aは宙のこと嫌いなんですか？」
『……違うよ』
「……色が白だから嘘ついてないな〜」
真偽も色で決まってしまうのか
「嫌われてなくて良かったです」
そう言って微笑む春川宙。
彼には嘘をつけないと痛感した。
……魔法使いは反則だろ、ホント
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
