63.鳴上嵐 ページ15
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「Aちゃんって陸上とかやってた？」
『やってないぞ。なぜそう思うんだ？』
「昨日あの光ちゃんと走ってたじゃない」
……見られてたか
昨日たしかに走った。
天満光探して三千里していた僕は制服でダッシュダッシュだぜしている天満光を見つけた。しかし彼は止まることなくメロスも仰天する程彼は止まることなく走り続けるのだ。
だから僕も走った。必ずかの走り回る兎を捉えなければならぬと決意したのだ。
『いや陸上部の君に見られていたとはお恥ずかしい限りだ』
「そんなことないわよ〜だってあの光ちゃんと並んで走る女の子なんてそうそういないもの」
『そんなことはないだろ。天満くんは多分あれでも手加減していたんじゃないか？』
「あの子加減なんて知らないわよ」
生垣をハードルのように飛び越え、花壇のレンガを平均台を渡るように走り抜け、最終的に真白友也に止められて僕達の走りは終わりを迎えたのだ。
彼も満足したのか、そして僕に心を開いたのか彼は僕のことを��ね〜ちゃん��と呼びながら会うたんびに僕に抱きつくという抱き着き魔と進化したのだ。
『まぁ久し振りに走れて気持ちよかったよ。この頃運動不足で身体が固くなってきたと思っていたため良い運動になった』
「あれで大丈夫だったの？普通なら筋肉痛よ〜？」
『僕の身体は全身鉄で出来ているため息切れを感じることがなければ汗も流さない。僕でいうと筋肉痛はオイル切れだ』
「あら〜」
『……君は僕にツッコミを入れてはくれないんだな鳴上さん』
「そういえば前々から思っていたのだけれどその��鳴上さん��っていうのやめない？同級生で結構タメ口で喋っているのに名前だけ他人行儀なんて寂しいわよ結構」
いつか言われると思っていた
『えー……あー……』
「ほらほら��お姉ちゃん��って呼んでちょうだい」
『それはさすがにハードルが高いかと』
「じゃあ一歩譲って��嵐ちゃん��で」
『��嵐くん��で頼む。なんだか性別でゲシュタルト崩壊を起こしてしまいそうだ』
「……も〜仕方ないわね〜」
やはり鳴上嵐みたいなキャラは難しい。
でもなんだかんだ呼びやすくはなった。苗字呼びより名前呼びの方が遥かに呼びやすいことを今更知った高校生の姿がそこにあった。ていうか僕だった。
「これでアタシ達友達よね？」
『え』
「え？」
『……いや、それは少し考えさせてくれ』
「嘘でしょAちゃん！」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月17日 23時
