25.粟田口部屋 ページ27
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『(まさかお姫様抱っこされるとは……)』
折れた刀を抱いたまま私は鯰尾くんにお姫様抱っこをされ、どういう状況なのか未だに把握出来ないでいると��粟田口��という札が掛けられた部屋の前で止まり足で障子を開ける鯰尾くん。
部屋の中には薬研くんと厚くんと乱ちゃんが待ち構えていた。
「ただいま〜」
「ご苦労さん鯰兄」
「誰にも見つからなかった？」
「多分」
降ろされた私は薬研くんに「まぁ座れや」と座布団を用意されたので大人しく座る。
「ようこそ主さん」
「素直になれない奴らに代わって歓迎するぜ大将」
「ここは安全だから安心してくれ」
『……あ、あの……』
「俺達はあんたを斬ったりしねぇよ。二度としないしあんたが斬れと指示しない限り俺達は刀を振るわない」
『で、でも……』
恐る恐る鯰尾くんを見るとニカッと微笑まれ私は安堵して一気に緊張の糸が解け脱力する。
『よかったぁ……私鯰尾くんにも裏切られたのかと思って』
「え〜それは心外ですよ〜」
『だっていきなり飛び出して押し倒すから……』
「ゲッ……鯰兄そんなことしたの〜？」
「だって少しそういう空気にしとかないと堀川さんに主さんが問答無用で斬られちゃうと思って……」
「あ、でも女人を押し倒すと結構興奮した」と全てを台無しにする言葉を言った鯰尾くんは乱ちゃんにぶん殴られた。
「まぁでも本当は少し信用させて裏切りようかとは思いました」
『……うん、鯰尾くん私を安心させてくれたよね。あの時凄く前向きだなぁと思ったし信用もした』
「でも貴女の強さとか人の良さとか見てしまったら貴女を斬るのも戸惑いもありましたし馬鹿らしくもあり」
「鯰兄……」
「だから俺達は面倒臭い兄や煩い弟の反対を押し切って貴女を迎えようと思ったんです。貴女こそ俺達の新しい主です」
『鯰尾くん……』
「そういうことで機会があったらまた押し倒させてください！」
誰よりも早く動いた厚くんが鯰尾くんに素早く卍固めをする。全てが台無しである。
「すまんな大将、鯰兄は学習しないんだ」
「兄に対してすっごい辛辣あだだだだギブギブギブギブ！！」
自然と笑いがこみ上げてくる。私は一人っ子だからわからないけれどきっと兄弟がいるとこんな風なんだろうなぁと思う。プロレス技をかけるの少し憧れているからうずうずしてしまう。
「さて、大将」
『？』
「あんたが抱いていた刀……ちと本丸内で争奪戦が起きるぞ」
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
