9.説明たいむ 其ノ参 ページ11
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「解ってしまったんだね。自分が何者で、何で出来ているのか」
『……貴方は』
「大太刀の石切丸という。まだ１７の君にこんな事を理解してもらうのは酷だと思うがこれも現実だ、受け止めてくれ」
『……私はお父さんとお母さんの子供じゃなかったんですか？』
「いや君は正真正銘今の両親の子供だ」
『でも母も父も幽霊とか見えないって言ってるんですよ？』
「見えないだろうな。なんせ君の母君も父君も引き継がれなかったのだから」
そこまで言うと石切丸さんは座ってしまった。
じゃあ私はなんだというのでしょうか。人間ではないけれど人間である両親の間に産まれたから人間な筈で、人間だけど普通の人間と違った能力を持っているのです。
しかし私の両親は��引き継がれなかった��らしい。
だとしたらこうは考えられないでしょうか。父親の祖父母と母親の祖父母のどちらかに私と同じ能力を持ち、元はこの本丸の審神者で主という可能性が出てくるのではないでしょうか。
「これでやっと理解出来た？審神者のこと、政府のこと、自分が何者で何で出来ているか、その他諸々とか」
『……私は……』
「打刀の加州清光。俺の場合は説明じゃない。問題だよ」
『え？』
「前の主とは誰か」
『(……わからない)』
母方の祖父母は私が産まれる前にはもう亡くなっていると聞いていたので残るは父方の祖父母の筈なのです。
今家にいるのが父方の祖母なのですが何故か祖父が思い出せないでいるのです。
どうして？
本当はずっと気になっていたんだ。仏壇の飾られている祖父の遺影だけがずっと見えなかったんだ。
黒い絵の具で塗り潰されたように拭いても拭いても祖父の写真だけが見えなかった。
『……わかりません……』
「……そっか」
『全部わからないんです……』
自分の頭の悪さに嫌悪感と罪悪感。
私はその場にしゃがみ込んで鼻の痛さを感じた。
「……今日は家に戻してあげる。でもアンタの答えが俺の問題の答えだとは思わないで。不正解だよ」
加州さんが私に歩み寄ったのがわかった。
そして私の頭をそっと撫でるのです。それが祖母の手つきに似ていて凄く懐かしいと思えた。
だって死んだ祖母は私に触れられないのだから
懐かしくて涙が出てくる。とめどめなく出てくる。なんでここはこんなにも懐かしいもので溢れているのでしょうか。
『……ひっく、うっ……』
私はとにかくその時、無性に家族に会いたかったのです
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ぬっこ(プロフ) - 胸から刀を出すと言う表現がとても素敵です。続き楽しみにしてます(^-^) (2020年1月15日 21時) (
レス) id: da10b377d5 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 紫鶯さん» ありがとうございます。続きをお楽しみください。 (2019年5月16日 20時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
紫鶯 - とっても面白かったです！ (2019年5月16日 13時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年4月29日 9時
