□99.【鉄色】錆びた思い出 ページ1
？.
「白野さん、婚約破棄だって」
姉から言われた言葉。
当時の俺はその言葉の意味がわからなかった。
ただ、姉の表情からその話題は楽しいものではないということは理解出来た。
「こんやくはき？
それよりAちゃんは？Aちゃんは今日来ないの？」
「……あの子は、もう会えないんだよ」
「どうして？」
「……婚約破棄って、そういう意味だからだよ」
そう言って姉は俺を抱き締めた。
もう会えない？
もう遊べないの？
なんで？
「Aちゃん……」
公園で１人、あの子の顔を地面に描きながらずっとあの子のことを待っていた。
「どうしてもう会えないの？どうしてこんやくはきなんてしたの？どうしてさようならとか言ってくれなかったの？」
どうして……
「僕が、こんな顔だから？」
自分の顔に残った一生消えない傷痕に触れる。
気持ち悪いから？
この傷が気持ち悪いからもう会いたくない？
僕のこと、キライになった……？
「うぅ……ううう……ううううううううううううううう！！！」
苦しい。
痛い。
気がつくと、自分でその子の似顔絵を何度も踏みつけていた。
俺はその場で泣き叫んだ。
周りのことなんて御構い無しに。
もう、あの子のことは忘れてしまおう
そして、１０年の月日が経った。
『あ、おはようございます。轟くん』
轟「……おはよう」
『半分寝てますね』
「早く朝食食べないと遅れちゃいますよ」と俺の手を引く白野。
轟「(手、小せぇな)」
当時は同じくらいだったのに、今じゃ俺の方が身長がデカイし、筋力の方も……いや、白野の方が絶対強いな。
上鳴「お２人さんおはよっす」
『上鳴くんおはようございます』
上鳴「なんだなんだ朝から２人で手なんか繋いじゃって」
『こうしないと半分寝ている轟くんは危ないんですよね』
上鳴「引率？」
『誰が幼稚園児ですかコラ』
上鳴「お前とは言ってねぇだろ」
２人の様子を目を半開きにして見ていると俺の腹が鳴った。
『どうやらお腹は起きているようですね』
上鳴「……」←笑いを堪えている
『早く食堂に行きましょうか』
……全然、変わらない
その誰にでも優しいという無責任なところ。
そういうところ嫌いだけど好きだ。
轟「(お前は覚えてねぇんだろうな)」
俺とお前が��元婚約者同士��だなんて。
.
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冬雪(プロフ) - 夢桜さん» ありがとうございます。夢主気に入ってくれて大変嬉しく思います。 (2020年1月13日 1時) (
レス) id: 25f70c9881 (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - 遅いですが続編おめでとうございます！更新される度とても楽しく見させて頂いてます！！夢主さんの性格や話が読みやすくてとても大好きです！これからも頑張ってください！ (2020年1月13日 0時) (レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます。光栄です (2020年1月2日 19時) (レス) id: e98b400c56 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - え、まって、めっちゃ上手！文章の書きかたが上手すぎてビックリしました！応援してます！ (2020年1月2日 18時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 寝不足猫ﾁｬﾝさん» コメントありがとうございます。頑張ります (2019年12月25日 17時) (レス) id: 38a44182a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年12月1日 0時
