■84.どうか、殺してください ページ35
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『……私こと、何も知らないくせに……』
食いしばった歯の隙間から絞り出すように私は爆豪くんを睨みつけながら言った。
爆豪「あ？」
『仕方ないじゃないですか……私だって人間です。知られたくないことくらい１つや２つあります』
爆豪「……」
『嫌われたくなかったですし疑われたくもなかったです』
独りでもよかった。
朝も昼も夜も。ご飯食べる時も寝る時も。病める時も健やかなる時も全部独りだったらよかったんだ。
そしたらこんな惨めな思いもしなずに済んだ。
痛い思いも、誰かに大切にされることも、誰かに好意を向けられることもなかった筈なんだ。
そう思うと、自然と涙が出た。
爆豪「……なに泣いてんだよ」
『……っ』
爆豪「おいっ！！」
爆豪くんに怒鳴られて、彼と��アイツ��の姿が重なって、
『っ！』
頭が真っ黒になった刹那、私の右手から包帯を突き破って、鋭利になった血が爆豪くんの頬を掠める。
爆豪くんの頬に流れ落ちる血が、赤い鮮血が、私の脳が、心臓が、そのまま永遠に停止するんじゃないかってくらいに動きを止める。
息も苦しくなる。
『……っ……私のことなんて』
爆豪「！」
『私のことなんて貴方にはわからない！！！』
衝動的に爆豪くんを押し飛ばす。
爆豪「っ……テメェ……！」
『私がヒーローに向いてないなんて初めから理解してましたよ！この個性が悪役に向いてることだって全部っ、理解していたことなんですよ……っ』
爆豪「……」
『でも、もう……っ……引き返せない立場に立っていて……本当はどちらでもよかったのに……！正義の味方役になって皆さんを守れるヒーローに、悪役なって思う存分個性を使って周りのものを全て破壊していく敵に、私はどちらになってもよかった！』
刹那、爆豪くんが私の頬を叩いた。
��アイツ��に比べれば痛くない。
それでも涙は止め止めなく出てくる。
爆豪「テメェそれ以上のこと言ってみろ……ブッ殺すぞ」
『殺してくださいよ』
爆豪「……」
『こんな、クズでクソでバカな私を、』
��どうか、殺してください��
こんな私、死んだ方がマシだ。
ヒーローにも敵にもなれないまま死ぬ。
ああ、なんでそんなことが出来たらなんて幸せなんだろうか
それなら私は笑って死ぬ。
これまでにない程の笑顔で死ねる。
それでも、爆豪くんは私を殺してくれなかった。
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夢桜(プロフ) - 夢を見たのは緑谷君かっ！最初から見させて頂いてます！とても面白いです！無理せず頑張って下さい！夢主ちゃんの性格好きだなぁ… (2019年11月17日 12時) (
レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
カロメG - この主人公の子の性格とても好きです！推しのホークスも出て来てて嬉しいです！ (2019年9月23日 1時) (レス) id: e6da68bb26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年9月21日 15時
