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(梅野はどんな目で世界を見ているんだろう。梅野は、…)
(──どんな目で俺を見ているんだろう)
そんな風にAが思った刹那、まるで梅野がそれを感じ取ったかのように、ぱっとAを振り返った。
うるみがちな梅野の瞳は、一度Aの視線から逃げるように揺らいだ。しかし、意を決したように再びAの眼を捕らえた。
(…綺麗だ)
Aはその目を見つめながら、やっぱり梅野は綺麗だという感想しか出てこない自分に、おおいに呆れた。呆れながら悔しかった。
(梅野の食べ物の好みも、些細な癖も、匂いも、ぜんぶ知っている──けど、一番分かりたいはずのこいつの気持ちが分からない)
でも、とAは考えた。
(俺と目を合わせてくれるのなら、きっとこれも許されるはず)
Aは梅野と繋いでいた手をほどき、そっと恋人繋ぎになおした。
びくりと震えた梅野の手のひらから、数秒のあいだ困惑が伝わってきた。しかし、やがてはAの手を握り返してきた。
やっぱりな、とAは思う。
梅野は喧嘩の後、すぐには謝らない。
徐々に態度が柔らかくなっていって、それから最後に、ごく小さな声で言うのだ。
「…ごめんね｣
「いいよ。怒ってない｣
Aは微笑んで、「俺こそごめん｣と言おうとしたが、思いとどまった。
(謝るのは、もう少し考えてからにしよう。本当に、梅野の気持ちがわかった時に…)
謝る代わりに、梅野の手をぎゅっと握った。
やがて二人は目的地のステラガーデンにたどり着き、しばしその眺めを楽しんだ。
「…いい眺めだな｣
「うん｣
風が運んできた花の香りが、心地好く鼻孔をくすぐる。息を大きく吸い込むと、肺は甘やかな空気で満たされた。
ステラガーデンが誇る花畑は、市内で最も大きく、最も花の種類が多い。市の観光の目玉なだけあって、午前中でもそれなりに人がいる。
太陽に照らされた鮮やかな花々は、雲一つない空のもとでよく映えていた。花の一つ一つが、日光を浴びて生き生きと輝いているように見える。
Aは花たちをスケッチしたい衝動を抑え、梅野を連れて庭に隣接したカフェへと入った。Aはコーヒー、梅野はカフェオレをオーダーする。
二人は店内には入らず、店の外に設置されたパラソル付きの席に座ることにした。
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すらいみーる@元もちづき(プロフ) - 以前からぺぺこさんの作品を読ませて頂いているのですが、すごくおもしろくて更新とても楽しみにしてます！！！これからもぺぺこさんの一ファンとして応援してます！ (2018年9月11日 23時) (
レス) id: 3b52443fef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぺこ | 作成日時：2018年4月14日 21時
