*迷い 【阿伏兎side】 ページ36
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「ねぇ、阿伏兎。地球に来たんだ。ちょこっと、暴れていかない?」
「なに、そこまで買い物行こう的なノリで、そんな事言うんだ、このスットコドッコイ」
「ええ〜?だって、ノリって大事だよ」
「……あのねぇ、団長……
まぁいいわ。で?なんでそんな事を言うんだ?」
戦艦内。
団長は、押し付けられた仕事をやっている俺の元に、物騒な提案を持ちかけてきた。
もう何も言えなくなり、諦めてそう聞くと、机の上に置いてあった、Aちゃんのハンカチをいじっていた。
「西山阿兎っていう密売人がいるんだって。
今日街に行った時、やり合ったやつに聞いたんだ。結構興味深いことをね」
「やり合ったって……なにしてんだ、あんたは……」
「あれ?知りたくないの?
このハンカチの持ち主の事かもしれないのに?」
ヒラヒラとハンカチを降る団長の言葉に、俺が筆を置くと、ニヤッと笑った顔が目の端に映った。
「やっぱり。このハンカチ、Aに貰ったんだ」
「あっ!!お前さん、はめたな!?」
「あはは
でも、ほんとだよ。Aに、お見合いの話が出てたんだって。」
「……そうですか。まぁ、あの若さじゃ、そんな話があったっておかしくはねぇだろ」
「その天人によるとね、Aの相手、表では良い奴気取ってるらしいんだけどさ、裏は相当な悪らしくて。
Aが攘夷志士の妹だって事を嗅ぎつけて、利用するのが目的だって」
「……そうか」
「え、それだけ?」
「は?」
「だって……心配にならないの?Aが利用されて、お見合いに行くことになるんだよ?」
「……団長。俺とあいつは、そういった仲でも無いし、今後なる予定もない。」
「でも少なくとも、阿伏兎は好きなんでしょ。一目惚れしたんでしょ」
「……」
「まぁ、いいけどさ。
もしそいつのところに行くなら、俺も連れてってね。仲間外れすると、殺しちゃうゾ」
綺麗にたたみ直されたハンカチが、団長の手によって俺の目の前に置いていくと、それだけを告げ部屋を出ていった。
それと同時に、ハンカチを掴むとそこから微かに臭う彼女の匂いを嗅ぐなり、途端に胸がざわついた。
「見合い……ねぇ……
そういう話、おじさん困っちゃうんだ。どうすりゃいい、この感情は」
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rikohuku0428(プロフ) - 続きのパスワードが知りたいです!面白いのでぜひお願いします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 4dacac16ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2018年8月23日 12時