＊ ページ14
.
「駒ちゃん、あんたってほんっと考えることバカだよね」
『…すみませんでした』
2時間連続の古文が終わり、昼時間になった頃。
俺の横では、反省の色を見せる駒場さんと、そんな彼女の前に立っては、腕を組んで叱る女子の姿。
周囲の生徒は、ドンマイとでも言うような視線で、2人を……というより、駒場さんを見ていた。
「1、2時間目、こっち古典だったから、バレるに決まってるでしょ」
『…でも、菊池、教科書に書き込んだりしないじゃん』
「あのねぇ、私だって、ノートが追いつかなくなったら教科書に書き込んだりするわよ」
『………イレギュラーな事しないでよ』
「はぁ？元はと言えば、あんたが忘れたからいけないんでしょ？！」
『うっ……それを言われると…』
「全く……明日は、忘れずに持ってきてよね！私まで怒られるんだから」
言いたいことだけ言えば、スッキリしたのか古典の教科書を片手に教室を出ていく彼女。
その姿を見送った駒場さんは、苦笑いで俺の方を向いた。
『菊池にも怒られちゃった』
「…どんまいとしか言えない」
『だよね
……はーっ…なんで忘れちゃったかなぁ……』
事の発端は、さっきの休み時間の時に既に起きていた。
姿が見えないな、なんて思っていたら実は駒場さん、古典の教科書を忘れたらしく、隣のクラスの幼馴染とかいう菊池さんに借りに行っていた。
……が、運悪く古文を読みながら巡回に来た先生に見つかり、忘れたことへ対して怒られ、それが教科書を返してもらおうと教室にやってきた、菊池さんも同じように怒られ。
『明日、ちゃんと持ってこないと……』
「…持ってくる気ないだろ」
『えへっ、そう見える？』
机の上で寝るかのように、自分の腕を伸ばしその上に肩頬をつけては、俺にそう聞いてくる駒場さん。
かけていた眼鏡を外して、見える、と一言告れば返事をするように、相手のお腹の音が聞こえた。
『お腹すいたぁ……音羽くん、ご飯いこ』
「……え、」
『え？』
「さっきの、今日から？」
『ん？うん、今日から』
とうに忘れられてるかと思った、お昼を一緒に食べる計画。
駒場さんは、財布片手に立ち上がりかけたまま、首を傾げる。
「俺、今日弁当ある……」
『じゃあ、それ持って屋上！私、食堂でご飯買ってくる！』
先行ってて！そう言って、颯爽と教室を出ていった彼女の背中を見ながら、場所わかんねぇし、そう小さく呟いてみる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マナ - 作品を参考してよろしいですか？ (2022年1月24日 18時) (
レス) id: d0a320b2d2 (このIDを非表示/違反報告)
空うさぎ(プロフ) - 駒ノ音〜Another〜作って下さりありがとうございますっ…ずっと2人の出会いが気になっていたので嬉しいです！更新楽しみにしてます՞⸝⸝ > ̫ < ⸝⸝՞ (2021年10月4日 19時) (レス) id: a700536b31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2021年10月4日 17時
