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役目 高杉side ページ7




…赤坂Aという女は、昔からそんなだった。昔から変わらずに、純粋で強くて、真っ直ぐな奴であり続けた。自分が信じた道を、進むのだと決めた道をひたすらに見据えて、そこにどんな悲劇が転がっていたとしても、どんな苦痛が待ち構えていたとしても、それらに目を逸らすこともせず、何てことはないのだと言う風に不敵に笑って見せては突き進んでいくのだ。その心に確かな不安や恐怖があるのに、それの存在を自身でも自覚しているはずなのに、とぼけたようにやり過ごしながら。それを人は、強がるというのだろう。強がりながらも、それでもAは、傷付いても足を止めることなく歩いてきたのだ。強がりだけでここまで歩いてきたのだから、もう十分に強い。

…いや、そうじゃなくても。Aが強い奴なのだということを。誰よりも真っ直ぐで、意思を曲げない奴なのだということを、俺は随分と昔から知っていた。だからこそ、そんなアイツにどうしようもなく惹かれていき、護りたいと望んだのだろう。真っ直ぐで純粋なその笑顔は護られるべきもので、それを俺が護るのだと、いつかの俺はそう決めたのだ。けれど。


『ありがとう、これ、結構気に入ってるんだ』


……もうその役目を果たすのは、俺ではないのだ。


…真っ直ぐに、振り返ることなくAは歩いていく。まるで、10年前、俺がAにしたことを今ここで仕返ししているみたいだった。俺は10年前、Aに冷たい言葉を吐き捨てて、振り向くことなく姿を消した。だから、Aにそんなつもりがなかったとしても、きっとないのだろうけれど、誰かにあの時のアイツの痛みを思い知れと言われているような、そんな気がした。被害妄想だった。

…アイツの目に映っている未来へと駆けていこうとするような。手に入れたいと望む未来を掴みに行くような、そんな背中を、俺は見据えていた。今にも勢い余って転んでしまいそうな姿を、しっかりと見つめていた。


Aは船の甲板から船内へと降りる通路へと繋がる出口の前に辿り着き、そうして、やはりこちらを一瞥することなくそちらに一歩を踏み出した。少しずつ、足元から順番に、Aの姿が見えなくなっていく。階段を降りていき、背中が見えなくなって、やがて、完全に俺の視界から、Aの姿が消えた。俺は一言も口にすることなく、Aを見送っていた。自分がどんな顔をしているのか、自分で分からなかった。けれど。


振り返ることなく、真っ直ぐに自分の道を突き進んでいったアイツのことがなんだか誇らしくて。やはり、愛しくて堪らなかった。

救いであり続けた 高杉side→←なんて、 高杉side



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真選組、攘夷   
作品ジャンル:アニメ
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Karin(プロフ) - この作品が好きすぎてもう4回ぐらい読み返してます。とっても面白くて、感動的で、大好きな作品です!銀魂のedにも使われていた桜音という曲を聴いた時に、この作品の高杉と主人公のことみたいだなぁと感じました。高杉と恋仲だった頃の話も見てみたくなりました笑 (8月4日 19時) (レス) id: 9e7f4b97d1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ありがとうございます!こんなご時世ですので暇をもて余すこともあるかと思いますが、私の作品なんかで良ければ読んでやってください!! (2020年5月9日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ピピコさん» 嬉しいです!楽しみに待ってます(o^^o)その間ピピコさんの小説何度も読み返しますね笑 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ミウラさん!ありがとうございます…!!最後まで読んでくださり感謝です…!!高杉さんが出てくるシーンは本当に難しかったです…自分でも書いててしんどかった…!!高杉さんのお話もそのうち書きたいなぁと思っていますのでお楽しみに(o^−^o) (2020年5月9日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 一気に全巻読めちゃうくらい面白かったです!晋助様のシーンがしんどすぎてずっと泣いてました…笑次は晋助様落ちの小説も書いて欲しいです! (2020年5月9日 8時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月14日 19時

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