わたしの英雄。 (ページ9)

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『おはよう。わたし。』

自分に挨拶をしてベッドを出る。

不意にベッドサイドのテーブルに置いてあった写真に手がぶつかった。

ｶﾞｼｬﾝ…

『あっ…』

その写真は、私の大切な写真。
4枚しか持っていない、家族3人での、写真。

『もういいや。捨てよ…』

グシャグシャに丸めてゴミ箱に捨てた。
今日は、1日、バイトの日。

ゼリー、ゼリーっと。

軽く朝ごはんを食べ、家を出る。

妙な視線が感じられたのは、気の所為にする。

｢～っ、うわぁぁっんっ、｣

どこからか泣き声が聞こえた。

これも、気の所為に……

『できるかぁぁっ！！！』

路地裏？…物陰。そう、物陰。物陰に居た女の子が泣いていた。

体は…傷だらけ。

『ねぇ、大丈夫？』
｢うぅっ、ﾋｯｸ…｣
『あぁ、ごめんね…私の名前はA。貴女は？』
｢…～…の、の…｣
『ののちゃん？』
｢…んん…ののか。｣
『ののかちゃん。大丈夫？』
｢ｸﾞｽｯ…ﾋｯｸ…｣

今日はバイト行けないなぁ…

『お母さんは近くに居る？』
の｢やだっ…まま、きらい！｣
『ママが嫌いなの？…じゃあ、お姉ちゃんのところに来る？』
の｢いーのー？…まま、やだぁ…っ｣
『じゃあ、おいで。抱っこしてあげる。』
の｢お姉ちゃんんっ…｣

お母さんが嫌いってことは…お母さんに、虐待されちゃったのかな…

それ以上は思い出したくなくて、ののかちゃんをギュッと抱きしめた。

家に着き、バイト先に休みの連絡を入れた。

一応まふくんにも。

Aまふくん…今日ってお休みですかね?

まふまふお昼からね。どうしたのー?

軽く事情を説明すると、お昼から速攻で来てくれるらしい。

『ののかちゃん、お風呂入ろっか。』
の｢うん｣
『着替えどうしよう…』
の｢私、身長120cmだよ！｣
『そうなの？ありがとう。…』
(うらたさんに借りる訳には…)
の｢私、お裁縫できるよ。｣
『そうなの？…じゃあ、バスタオルで簡易に作ろっか。』
の｢うん！｣

あとから知ったこと。
ののかちゃんは、小学一年生の7歳。
お母さん、お父さん、妹、の4人で暮らしていて、お父さんとお母さんと妹で旅行に行ったりすることは当たり前でいつも1人だったらしい。

の｢お隣のお兄ちゃんにご飯作って貰ったの！｣
『そのお兄ちゃんのお名前覚えてる？』
の｢えっと…わかんない…｣
『そっか』

…うらさかに買い物頼んでみよ。