＃45 家族に。 ページ45
｢へえ、としみつがそんなこと言ったんだ｣
｢としみつさんって本当に素敵なんですよ！！｣
｢Aちゃーん！としみつのことよろしくねぇ｣
完全に蚊帳の外。
びっくりするくらい輪の外に追い出されてる。
Aちゃん、可愛い笑顔振りまいて兄貴と母親に囲まれとる。
完全に一人ぼっちでテレビの前のソファーではなしを盗み聞き。
｢おい！としみつ！こっち来いって！｣
｢やーだわ！勝手なことしか言わんやん！｣
兄貴が手招きして、ダイニングテーブルの席を指さす。
ただAちゃんを紹介しがてら、沖縄の土産を渡そうと思っただけなのに、捕まってしまって早1時間。
今日も内見に行こうと思ってたのに完全に出遅れてるよ。
｢としみつにはほんとにもったいない｣
｢私にもとしみつさんはもったいないですよ？！｣
｢そんなことないない！！｣
早く帰りたいなぁとか思いながらも、兄貴と母さんと話す彼女を見て、心のどこかで｢家族になれたら幸せだな｣なんて思ってしまう自分がいた。
頑張らなきゃね、精一杯愛を繋いでいかないとね。
｢あ！としみつくんー！｣
｢ちーちゃんだ、元気？｣
｢元気元気！ほら、はるくんお兄ちゃん来てるよ！｣
ちーちゃんに抱かれたはるくんはあまり変わってなかったけど、猿みたいだったなつちゃんは人間になっていて驚いた。
はるくんが足にくっついてきて、膝に乗っけると嬉しそうに笑う。
｢としくんと子どもなんて可愛すぎるね｣
｢え！としみつくんの彼女さん？！｣
これはまだまだ家帰れそうにないわ。
そんな予想は的中して、結局夕飯まで食べて帰ったのは言うまでもない。
｢たのしかったなぁ、としくんファミリー｣
｢そりゃあよかったよ｣
｢ん？としくんすねてる？｣
｢拗ねるわ！今日は不動産屋行きたかったの！！｣
当たり前のように彼女は俺の部屋に一緒に帰ってくる。
早く一緒に暮らしたいな。
沖縄から戻ってからはずっと一緒に寝てるし、もう本当に2つ部屋を借りる意味が無いもん。
｢としくんはこういう人達に囲まれて育ったんだなぁってしれたから幸せだったよ？｣
｢次はAちゃんのお家？｣
｢ちょっと遠いけど来てくれる？｣
｢今から緊張するわ｣
しっかりしたスーツ買おーって思ったのは内緒。
本気でドキドキしてるのはもっと内緒。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 473人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
