＃20 いい朝。 ページ20
聞きなれたメロディーで目を覚ました。
腕が少しの重みでジンジン痛むと思ったら、愛しの彼女が腕に頭を乗っけてすーすー寝息を立てていた。
まーただ。
布団は2つあるのに一緒に寝とる。
でも昨日とは違う。
今日の俺にはちゃんと記憶がある。
ちょっと胸がはだけすぎてるこの浴衣もそれを教えてくれてる。
｢Aちゃん、Aちゃん。おはよう｣
気持ちよそうに眠ってるところ悪いんだけど、起こしてあげないと彼女も支度があるだろうし。
体を揺すると、｢んん..？｣って反応する。
｢おはよ｣って顔を覗き込むと、｢わぁ！近い！｣って朝なのに元気な声。
｢おはよう｣
｢えっ？！としくん？！｣
｢ん？｣
｢ごめんねっ！！｣
ぱっと体を起こしたのは多分、この腕枕に気づいたからだと思う。
全然大丈夫なのに。
むしろ、もっとゆっくりしててくれていいのに。
さっきまでジンジンして痛かったのに、君が目を覚ました瞬間にどうでもよくなったのに。
そうしてるうちに、またアラームが鳴って、俺らが起きてないと思ってるスマホが一生懸命仕事をしてる。
｢うるさーい！！笑｣
｢Aちゃんがやったんでしょ！笑｣
｢あれ？そうだった？｣
布団から出て、スマホの画面をタップしてる。
やっと仕事を終えたスマホは静かになった。
｢としくんはまだ寝てていいよ？私お化粧とかしなきゃだし｣
｢....すっぴんってこと？！｣
｢えっ？今更？！｣
両手で外しそうに顔を覆う。
目だけが見えててこっちを子犬みたいな目で見てる。
あれ、Aちゃんの浴衣はあんまり着崩れてないな。
｢...え、だって...あ、これ言っていいんかわからんからやめとく｣
｢ちょっと！そこまで言ったら言ってよ！｣
｢やーだよ！俺は寝るもんねー｣
｢としくん意地悪！！｣
布団をかぶった俺の布団を思いっきり剥がしに来た彼女は｢なぁに？｣って首をかしげる。
｢怒らん？｣
｢怒らないよ？｣
｢えー...だってさ...化粧してないのわからんくらい...可愛かったから...｣
ほらほら、これって裏返すとお金と時間かけて一生懸命可愛くなってくれてる彼女になんにも変わってねーよって言ってるのと同じやん。
だから怒られるかなあって。
思うやん...？？
｢ええ？！｣
｢なに？！｣
｢なんでそんなことで怒るの？！｣
｢嬉しすぎます｣って飛びついてきたから、抱きしめ返して、いい朝すぎる。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
