想って染まる短編集【WT】 (ページ30)

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◎愛贈呈_sm ページ30

(リクエスト!!)

『スマイル〜！』
「…。」
『ねぇそんな怪訝そうな顔しないでくれない？』

興味本位で購入したメイド服。それを着て彼氏の前に出てみたらめちゃくちゃ険しい顔をされた。え、酷くないですか？

「何それ。」
『ちょっと興味あったから着てみた！どう？』
「どう？って…まぁ、いいんじゃないすか。」
『ねーぇ！辛辣!!!』

びぇ、と叫べば彼の眉間の皺がより一層深くなった。えぇ、悲しい…。なんて言ってる場合ではない。気を取り直して彼の手を引く。

「は、ちょ、何、」
『ここ座ってて！ご飯持ってくるから。』

冷蔵庫に入れていたご飯を取り出してレンジで温める。スマイルは未だに頭の上に疑問符を浮かべていて、ちょっと面白い。温め終わったご飯を机の上に並べ、羞恥心を放り出す。

『それでは！』
「は、？」
『今から美味しくなるおまじないをかけようと思います！いきますよ〜？美味しくなぁれ、萌え萌えきゅん♡』

手でハートを作ってニッコリと笑うと彼は少しキョトンとした後、顔をグルンっと背けた。あれ、そんなに嫌だったかな。

『スマイルさ〜ん？どうしたんです…？』
「なんか、やばい。」
『はい？』
「Aがメイド喫茶で働いてると思うと、無理。」
『は!? 酷くない!!!?』

私が彼を批判すると落ち着けと諭された。ムス、としたまま席に座ると、彼は少しだけため息をついた。

「別に、メイド服が似合ってないわけじゃない。」
『へぇ？じゃあやってる事が子どもっぽいって？』
「なんでそうネガティブに捉えるんだよ…普通に良かったと思う。ただ…。」

彼はそこまで言って口を噤んだ。ここまで来たら全部吐かせたい。なんだよ、と足で足をつつくと渋々といった様子でスマイルは口を開いた。

「なんかさぁ…彼女がメイド喫茶で働いてるとか、嫌じゃん。」
『…え？』

思わぬ発言に私は硬直した。それって、

『え、え、嫉妬？嫉妬してくれたの〜???』
「うっざ…来んな、ご飯食べるから、」

スマイルは嫌そうな顔をしながらも美味しいと言ってご飯を食べてくれた。またこれやったら喜んでくれるかな。