猫耳_nkm ページ11
『なかむさん。』
「はいはい、なんですかAさん。」
スマホを弄りながら隣に座っている彼に声を掛ける。彼はふわりと笑ってこちらを見つめた。
『ちょっと目を瞑って貰えますか？』
「ん？ いいよ。」
そう言って彼は目を瞑った。私はこっそりと、後ろに隠していた紙袋を取り出す。中には黒と白のふわふわしたカチューシャが一つずつ。羞恥心をカチューシャの代わりに袋の中へと入れ込んで、白を自分に着けて黒を彼に着けた。…予想以上に似合っているな、コイツ。そんな小さな嫉妬心をしまい込んで彼に目を開けてもらった。
「…えっ、」
『ふふ、今日は2月22日。にゃんにゃんの日です。』
こんなのお店で売ってるんだね、なんて言うと、彼は興味津々といった様子で私のカチューシャを触りだした。もちろん神経が通ってる訳ないので特に何も感じないけれど。まぁ彼が楽しそうなので良しとする。
「……いいな、これ。」
『はい？』
「めっちゃ可愛いよ。」
なかむはそう呟くと私の鼻先にキスを一つ落とした。どことなく彼が猫っぽいのは気の所為だろうか。そんなことを考えている私を他所に、なかむは私の首元にスリっと頭を擦り付けて来た。擽ったいけど、可愛い。
『なかむも猫耳似合ってるよ。』
「いーや、Aの方が似合ってるよ。絶対。」
『そうかなぁ…。』
なんて話していると、彼が紙袋の中に何かを見つけた。…あ、やば。
「これ、なんで付けてないの？」
『…要らないかなぁ、と思って。』
彼が持っているのはチョーカーのようなもの。鈴が付いていて、明らかに首輪感がある。まぁフリルが付いてるからチョーカーに近いけど。
「付けてみてよ。」
あぁ、こう言われると思ったから嫌だったのに。私が明らかに怪訝そうな顔をするとなかむは目を細めて、そして笑った。
「可愛い猫ちゃんにはちゃんと首輪をつけておかないと。」
他の奴の所になんて、行っちゃダメだよ？
______________________
今日は猫の日、という事で猫の話でした〜🐈
(作者は我が家のにゃんこを愛でます)
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月13日 22時
