【ヒロアカ】残り、14日の命【男主】 (ページ6)

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徐々に切れ目が広がる。

ゆっくり、立ち上がるようにして古くなった皮膚から出た。

｢はぁ…｣

やはりこの脱皮は疲れる。

体が痛かったから余計にだ。

荒くなった呼吸を整える。

…そして、またいつもと違うところをみつけた。

みつけてしまった。

｢……えっ何この羽｣

背中に違和感があって見てみたら羽が生えていた。

男にしては白いであろう俺の肌とは対照的に、黒い蝶の羽だった。

一瞬戸惑ったけど、すぐに理解していく。

｢……これって、｣

…そういうこと、なのか？

いやでもまさか、そんな……早すぎる。

｢…おい、まだかサナギ野郎｣

｢…あ、うん…って寒いな｣

爆豪に声をかけられてはっとする。

季節は冬、すごく寒い。

急いで服を着たけど、まぁ上半身は羽が生えたから着れないわけで。

｢あはは…寒いままかよ｣

乾いた笑いを吐いて、瓦礫の裏からひょっこりと顔を覗かせた。

｢ごめん爆豪、葉隠。訓練中止にしてくれない？｣

｢…あ！？何言ってんだテメェふざけとんのか｣

｢なんて言うか…ちょっと無理になっちゃったかな｣

｢まだ体が痛いの？｣

｢いや、そういう訳じゃないんだけど｣

『…左凪。隠れてないでこっちに出てこい』

｢………はい｣

先生に言われて、自分でも分かるくらいおずおず、といった感じで出ていった。

｢…え！｣

｢左凪…どうした、背中｣

障子が言った。

｢俺にもわかんない…違う、理由はわかってるんだけどさ｣

なんで、今なのか。

頭を大きく抱え込んだ。

『とりあえず説明、してくれるか』

｢…説明は……明日でいい、ですか｣

『今できないのか』

｢俺も、自分で整理できてなくて。
頭こんがらがってるし心臓ばくばくしてます｣

『…大丈夫、じゃないな』

｢はい。それとあの、早退させてほしいです｣

今すぐ、一人になりたい。

一人になってかんがえる時間がほしい。

…そんな気分だった。

『…いいだろう。ただし保健室は寄ってけ』

｢ありがとう先生｣

お礼を言い、訓練場を出た。

更衣室へは行かずに保健室へ直行。

特に体に悪いところは無かった。

そして寮に戻り、次の朝まで自室に籠っていた。

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