もし他人だったらこの一線は越えられたのだろうか (ページ6)

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『ふぁあ〜眠っ』

パソコンに向かって大きなアクビをした

「Aさん、昨日はごめんね、長話しちゃって」

『うわぁ！小山さん！おはようございます、いえ、大丈夫です』

「ごめん、いま平気？」

きた……

『はい…』

小山さんというのが私の先輩であり彼氏。

社内恋愛は禁止だから同僚などみんなに知られないようにしている

バレないように

誰もいない書類室で二人きり

キスをする。

こういうことがたまにある

最初は戸惑ったけど拒む理由もないし

求められるから

「ッ…」

『ん…』

いつもキスする時思う

小山さんと稜雅は同じくらいの背だから

稜雅とキスするとこんな感じかなとか

もっと稜雅だったら優しくするのかなとか

いつもいつも稜雅が頭の中にいる

最低な女だ

ゆっくりと唇と唇が離れる

「ありがとう」

『いえ…』

キスしたあといつも顔を赤らめる

そういうところ可愛い

「ねぇ、来週の金曜日ご飯でもどう？」

『いいですね』

「じゃあお店予約してくね」

『ありがとうございます』

そして、バレないように1人ずつ書類室から出ていく

缶ビール片手にスルメイカを食べる私を見たらきっと驚くだろうな

仕事場だと完璧に振る舞っているから、小山さんが思う私のイメージと本当の私は違う

そろそろ演じるのも疲れたな…

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