三話 ページ5
色々説明を省いて端的に言うと、私の現在地は忍術学園・学園長室。
四方八方を五年から上の上級生及び先生方に囲まれながら学園長と相対している。
ちなみに、寝巻きは流石に着替えさせられた。
変装していたらしいから確証はないが、おそらく山本シナ先生だろう。
私を囲む彼らは警戒状態MAXで、かれこれ十分近く無言のまま。
ならば私から話せば良いだろうと思うだろうが、どうやらそれは出来ないらしい。
「お主が操る術は言霊では無いようじゃな。もう喋ってよいぞ。」
『どうもありがとうございます。』
という事だ。
補足説明をすると、学園長室へ連れられてくる前に潮江文次郎さんから忠告を受けていた。
「これより先から勝手喋ることを禁じます。
これ迄の天女たちは皆、何かしらの術を操っていた。
アナタの操る術が“言霊”でない確証はまだない。
余計な敵意を向けられたくないのでしたら協力して下さい。」
そんなわけで今まで無言だったのだが、私としては「喋るな」と言われる事よりもずっと、至極丁寧な説明や言葉遣いに対して違和感を持った。
口振りからして以前居たという天女という者たちはあまり好ましい人物では無かったようだ。
だとすれば、同じく天女と呼ばれている私とて彼らの嫌悪対象であることは容易に想像がつく。
にも関わらず、この丁重な扱いというのはどうにも奇妙に思えてならない。
頭の中でいくら考えても明確な答えは出ないか…
『まず前置きとして言っておきますが、私はあなた方に不利益を与えようとは微塵も思っておりません。
信じろとは言いませんが、これが全てです。
本題に入る前にもうひとつ、私自身の情報を公開しておきましょうか。
姓は橋本、名はA、歳は18です。性別は見た目通り女。
先程から仰っている“術”というものに関しては申し訳ないが心当たりありません。』
ここまでをひと息で言い切る。
ちらりと学園長の方を窺うと、さして表情は変わらないように見える。
まぁ流石に、今ので警戒心が解けるなどと私も思ってはいなかったから、妥当な反応だろう。
『さて…これ以上の情報についてはあなた方自身が知りたくなった時にまた聞いて下さい。
隠し立てなんてする気は持って無いので何でも聞いて下さい。
それでは本題に入ります。』
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かみきれ(プロフ) - 続きが気になりますね!それに、面白いです!更新待ってます。 (2023年3月12日 8時) (レス) @page21 id: 1778223a4a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉桜(プロフ) - にょきにょきさん» ありがとうございます。今は諸事情ありまして更新はマチマチですが、色々片付いた際には定期更新に切り替えようと目論んでいますので、今暫くお待ちください。期待に添えるように頑張ります!!これからもどうぞ温かく見守ってください。 (2022年11月17日 17時) (レス) id: c76bb7a1ea (このIDを非表示/違反報告)
にょきにょき(プロフ) - コメント失礼します。初めのプロローグを読んだ時にこれは絶対面白い!と思い読ませていただきました。最後まで読み、面白くて他には無いまた新しいものだと思いました!更新頑張ってください!待っております! (2022年11月16日 18時) (レス) @page18 id: 7282b40af5 (このIDを非表示/違反報告)
もんちゃん - 佐倉桜さん» 返信ありがとうございます!!私もいつか天女系の小説かいてみたいです!! (2022年7月8日 0時) (レス) id: a2e5551fe6 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉桜(プロフ) - もんちゃんさん» ありがとうございます!私も実は天女様が出てくるお話苦手だったんです…。それで自分ならどんなお話を書くかなと考え始めると止まらなくて……、こんな感じで作品にしてみました!これからも更新頑張ります!! (2022年7月7日 22時) (レス) @page3 id: c76bb7a1ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉桜 | 作成日時:2022年6月15日 0時