一話 ページ3
駅のホームで電車を待ちながら隣の親友に話しかける。
『やぁ親友、いま何時?』
「おぉ親友、手元の時計は現在17:50を指してるよ。」
『えっガチで?マズイじゃん。もうすぐ忍たま始まっちゃうじゃん。』
一日のうちで一番大きな楽しみなのに。
まだ電車の来る時間ではないし、確実に18:00までには間に合わない。
録画をしているとは言えリアタイ出来ないのショックすぎる…やっぱり進路の山内は処すべきか?血祭りに上げるべきなのか??
『なぁ親友、やはりセオリー通りにするならばギロチンだろうか?』
「親友よ…その突然話がぶっ飛ぶくせはどうにかした方がいいと思う。
頭で考えているうちの五分の一でもいいから口に出せ。
あんたはただでさえ表情が読みにくいんだから。」
『あぁそうか、いつも言われるのに中々どうして実行出来ないな。
しかし私の親友であるならば多少の行間は読めるだろ?』
「まぁ読めるか読めないかで言えば読めるのだけどね。
また進路の呼び出しでしょ?『もっと高い志望校を』ってやつ。
あの人たちも懲りないものだね。」
そう、正しくその通り。やはり私の親友は最高だ。
私はよく考える方だと思うのだが、その考えを頭の中に押し留めてしまうくせがあるらしい。
おかげで付き合いの短い人と話すと大抵は私の話を理解して貰えず、次第に気まずい空気になってゆく。
この場合悪いのは相手でなく私であり、私の話を九十パーセントの確率で正確に理解する親友の方が異常なのだ。
「でも私は進路の先生方の思いが分からない訳では無いよ。
何せあんたは頭がいいからね。特に数学。
この前の模試では全国一位だったという話じゃない。」
『数学だけだよ。英語に関しては平均点以下だ。
国語だって古文しか上手く読めない。
正直、先生方の期待は少々過剰だと言わざるを得ない。』
だからそんな風に呆れた顔をする意味が私にはよく分からないのだが?親友よ。
「数学だけだとしても飛び抜けた点数を取っていて、その上他の教科がそれほど足を引っ張っていないということは、総合して点数もそれなりに高いでしょう。
そんな意味で先生方はあんたに期待を寄せているのでしょうよ。」
『なるほどな、しかし私は何も高学歴を目標としているのではないんだよ。
私が大学に求めているのは“室町時代の研究”が盛んな点だからね。』
「はぁ…知ってるよ。」
知っているのだったらそんなに大きな溜め息を吐かないで欲しいのだけどね。
87人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かみきれ(プロフ) - 続きが気になりますね!それに、面白いです!更新待ってます。 (2023年3月12日 8時) (レス) @page21 id: 1778223a4a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉桜(プロフ) - にょきにょきさん» ありがとうございます。今は諸事情ありまして更新はマチマチですが、色々片付いた際には定期更新に切り替えようと目論んでいますので、今暫くお待ちください。期待に添えるように頑張ります!!これからもどうぞ温かく見守ってください。 (2022年11月17日 17時) (レス) id: c76bb7a1ea (このIDを非表示/違反報告)
にょきにょき(プロフ) - コメント失礼します。初めのプロローグを読んだ時にこれは絶対面白い!と思い読ませていただきました。最後まで読み、面白くて他には無いまた新しいものだと思いました!更新頑張ってください!待っております! (2022年11月16日 18時) (レス) @page18 id: 7282b40af5 (このIDを非表示/違反報告)
もんちゃん - 佐倉桜さん» 返信ありがとうございます!!私もいつか天女系の小説かいてみたいです!! (2022年7月8日 0時) (レス) id: a2e5551fe6 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉桜(プロフ) - もんちゃんさん» ありがとうございます!私も実は天女様が出てくるお話苦手だったんです…。それで自分ならどんなお話を書くかなと考え始めると止まらなくて……、こんな感じで作品にしてみました!これからも更新頑張ります!! (2022年7月7日 22時) (レス) @page3 id: c76bb7a1ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐倉桜 | 作成日時:2022年6月15日 0時