逆ハーは別に狙ってない！【東リベ】

3しゃい.2 ページ7

お行儀よく正座で分かりもしない親同士の会話を笑顔で聞いている子ばかりだ


Aはその姿に小さい声でうへぇ....無理ぃ。と零すと客間から見える大きな庭を見に窓へ駆け寄る


するとそこには見たことがある気がする男の子が2人


1人は大きい岩の頂点に座り、1人はその岩にもたれ掛かりながら談笑しているようだった


2人ともタレ目がちな目がよく似ている


兄弟だろうか


顔が良い


オタク心を擽られる


しかしどこかで見たことがある気がする


3歳までほとんど家の中で過ごしていたAが見たことある顔と認識するほど印象に残る相手なんてそう居ないはずなのに、だ


ちょっと待てよ


と唇を自分の指でなぞる


タレ目がちな目がそっくりの兄弟で


灰谷という苗字


東京都内が舞台の作品で


しかもここは六本木


もしかして....


『もしかして....東京リベンジャーズ....？』


確信するには情報が少なすぎるが、生前好きだった作品の1つで合致する物がそれしか思い当たらない


ただ、完結まで読めずに死んでしまったのだが。


もしふたりの名前が蘭と竜胆ならほぼ正解とみて間違いない気がする....


待てよ....今何年だ。


生まれたのが1995年で、えっと、今が1998年だから....



多分記憶が正しければ2人は10歳か11歳


つまり原作本編が始まる前だ！！


2人の名前を確認したいけど....どうしよう....


悩んでいても埒が明かないと思い覚悟を決めて2人に近寄ろうと庭に出る


2人に気づかれないよう静かに段差を降り、窓を閉める


とにかく無邪気に挨拶してみよう！


普通に考えれば無謀なのだが


推しに会えたかもしれないという緊張と、相手の反応が怖い不安とで、手汗が滲み、思考が鈍っていた


ええい！ままよ！！


と勢いよく走って駆け寄ろうとしたものの、赤ちゃんライフという名のぐうたらニート生活をしていたAは


慣れない子供のからだと、慣れない砂の足場が合わさって


2人の目の前で



盛大に顔面から



コケた



？｢......｣


？｢......｣



『.....』




談笑していた声は止み、Aは顔をあげられずに気まずい沈黙が流れる


ていうかめっちゃ顔も足も手も痛い


Aは観念し、取り敢えず起き上がろうと地面に手を着くが激痛が走る


何とか上半身を起き上がらせるものの、手のひらと膝、そして顔面


ほんとに擦り傷だけ？と思うくらいの激痛に耐えられず涙が浮かぶ


骨が折れたんじゃないかと言うくらい痛い

3しゃい.3→←3しゃい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す