逆ハーは別に狙ってない！【東リベ】

一虎と場地.4 ページ38

夜中の3時頃、2つの影が揺れるのが見えた


『きたっ！』


急いで二人を追いかける


壁の影から裏口に回る2人を覗き見る


場地さんはずっと辺りを警戒して見回している


一虎は裏口のガラス窓にガムテープを貼っている


止めるなら今しかない


『なにしてるの？』


鳴り止まない心臓を無視して声をかける


場｢Aっ....!｣


虎｢なんでここに....｣


2人は酷く動揺してるようだった


一虎は悔しそうに顔を歪ませると


虎｢場地！Aのこと抑えてろ｣


そう言うとガラス窓を割ってしまう


『かずくっ！！』


止めようとする私の口を場地さんが塞いでしまう


見上げると額には汗が滲んでいた


焦って自分がどちら側の立場でいるべきか分からなくなっているんだ


一回りも小さい体は場地さんにいとも簡単に抑え込まれてしまった


虎｢行くぞ｣


1人で先に中に入っていく一虎


一虎も焦っているんだ


場地さんは一虎の背中が見えなくなって、やっと私を連れて中に入る


虎｢見ろよ｣


｢バブだ｣恍惚とした表情でバブを見つめ、近寄る一虎


場地さんを見上げれば先程より落ち着いたらしい場地さんと目が合う


真っ直ぐ目を見つめ、頷くとゆっくり場地さんの手が離れる


走ってバブに近寄って一虎の前に立つ


『かずくんダメだよ』


そう言ってみても、一虎は興奮しているらしく聞く耳を持たない


『これは、マイキーのお兄ちゃんが、マイキーのために用意したバブだから。

だから、だめ』


言うつもりはなかったが止まりそうにない一虎に思わず口にしてしまう


しかし、その言葉に一虎の足は止まる


あとから歩いてきていた場地さんの足も止まる


場｢マイキーの....？真一郎くんかっ！まさか....ここ....！｣


勘づいたらしい場地さんは動揺していた


『だから、だめ』


もう一度繰り返して止める


今ならまだ大した罪にはならないし一虎の心も壊れることは無い


だからお願い。諦めて


真｢おい！｣


奥の方から声が聞こえ、一気にこの場の空気が凍るのがわかった


真｢なんだぁ？泥棒か？｣


真一郎さんが来てしまった


みんなの息を飲む音が響く


しばらくの沈黙


真一郎さんの顔が月明かりで見える


みんながじっと動けずにいる中、一虎がニッパーのグリップを握りしめる音がいやに耳に届いた


『かずくんだめ！！！』


咄嗟に動かしたからだで真一郎さんを押しのける


ニッパーが右肩に当たるのが分かった

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