染まれ染まれ。 5 ページ6
「どうもー、お兄さん。自分が何でここにいるのかよーくわかってると思うけど、お願いだから余計な仕事増やさないでね?」
それに男はガムテープの貼られた口で、何かを訴えようと、んーんー、と声を上げた。
「……トド松、外してやって」
「はーい」
男のその様子を見て、おそ松がトド松に指示する。
トド松が返事をして、すぐに男のガムテープを外した。バリッ、と痛そうな音がして、少し男に同情する。
(……トド松雑すぎでしょ)
ぷはっ、とやっとガムテープを外されて、男が空気を一気に吸い込む。
男はすぐに一松達三人を見回して、言葉を発した。
「……おまえらのボスはどこだ」
「えーっ、第一声がそれなのーっ!?」
一瞬、三人ともおそ松に目を向けてしまったが、すぐにその視線は立ち上がったおそ松の言動への呆れたものに変わった。
「兄さん……」
チョロ松が咎めるような声を出したが、おそ松は口を尖らせた。
「だってーチョロちゃんー。確かにそうなるよう仕向けたのは俺だけどさー。この状況で酷くない? 少しは察して欲しいんだけど!」
「無理でしょ。兄さん前にばんばん出て来すぎだし」
チョロ松が冷静に答える。
「だってさー、書類仕事ばっかりでつまんねえんだもん。むー、何かいい方法が……。あ」
不満げな顔のままだと思っていたら、次の瞬間、一体何を思いついたのか、不穏な声を上げた。
「アレやればいいんじゃね? アレだったら一発でわかるでしょ!」
「アレやるの!? 確かにアレだったら一発でわかるだろうけど、一松とトド松はまだ免疫無いから危ないって。それに、何兄さんしれっとバラすつもりでいるの?」
おそ松とチョロ松が一松とトド松にはわからない会話を繰り広げている。
(“アレ”ってなんだ?)
一松はトド松と顔を見合わせるが、トド松も全く知らないらしく、困惑した表情を浮かべていた。
「えー、いいじゃん別にバラしても。他の二人だって大丈夫だったし」
「あの二人が特殊なんだよ! 片方は兄さんに心酔しすぎだし、もう片方は呑気すぎなの!」
「そう言うおまえも初見で全然大丈夫だったくせに」
「ぐっ……」
「何とかなるって。それに、俺、こいつを五体満足で帰すつもり無いんだけど?」
相変わらず一松とトド松にはわからない会話を繰り広げていた二人だったが、おそ松がそう言った瞬間、チョロ松の表情が固まった。
少し怯えたような表情になって、呟くようにチョロ松は言った。
「わ、わかったよ……」
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野口 - 今回のお話は、なんて言うか、さすが兄さんみたいな感じで、かくなるうえは!新星病みこわかわいい! 次回のお話もとても楽しみにしてます! (2017年11月14日 22時) (レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 読むの遅くなりましたが、今回も最高でした!パーカー松本当に好きで、自分好みの文章を書いてくださるAsterさんに、自分好みのお話を書いていただいて本当に嬉しいです! (2017年11月14日 22時) (レス) id: 19852ab4e1 (このIDを非表示/違反報告)
Aster - 野口さん» ありがとうございます! 更新が遅くなって申し訳ありません! 今回の話は全然自信が無いです……。時間を見つけてぼちぼち執筆していきますのでよろしくお願いします。 (2017年8月15日 18時) (レス) id: 6f6df49f3d (このIDを非表示/違反報告)
野口 - 新作おめでとうございます! (2017年1月19日 18時) (レス) id: 9a188fa29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Aster | 作成日時:2017年1月13日 22時