その7:イカしたヘアーのナイスガイ ページ9
☆
「間もなく河口湖へ出発しますよー! みなさんお揃いで──」
「どわあああッ、まって! 遅れましたーッ!!」
人数確認を始めようとした運転手の言葉を遮るようにそう叫んだのは、イナズマジャパン専用のエナメルバッグを一丁前に肩にかけ、既に選手たちが乗っているバスの方へとドタバタと走り向かう六連星ほたるだった。
息を切らしている様子から、かなり焦っていていることが伺える。
そんな彼女の姿を見た運転手は、必死の形相で走りながらこちらへとやって来る彼女に向かって「六連星さん、急いでください! 出発しますよー!」と急かすように呼びかけた。
「みなさんとっくにお揃いですよ」
「す、すみません……ちょっと、急用が、できてしまって……」
「とはいえ、来ていただけて安心しました。お好きな席に座ってくださいね」
苦笑を浮かべる運転手に促され、ほたるも素直にバスの中へと足を踏み入れる。
どこに座ろうかと座席を見渡してみれば、空いている席は既にもう二席しか残っていないようだった。
「(座れる席は……不良っぽいちゅるちゅるの隣か、同じく不良っぽい灰色ロン毛の隣か)」
サッカード素人故に、当然彼女は今後自分のチームメイトとなる選手の名前を全くと言っていいほど知らない。
きちんと自己紹介らしい自己紹介をするまでの間、しばらくはこうして見た目の特徴から適当に渾名を付けて呼ぶことになるだろう。
さて、一体どちらの席に座るべきか。
正直どっちでもいいので頭の中で密かに「どーちーらーにーしーよーうーかーなー」と歌を歌った結果、ほたるは結局彼女の言葉で言うところの「不良っぽいちゅるちゅる」の隣に座ることになった。
「へい、そこのイカしたヘアーのキミ。申し訳ないんだけど、隣の席座らしてくれないかな」
「あ? 誰だお前……」
「さしずめ、正体不明の一般JCってとこかな……いや、ウソウソ。ごめんって、謝るからわざわざ空いてる方の席に荷物置かないで」
言葉通り、つい先ほどまで空席だったはずの席に、見ず知らずの不審者を座らせまいと自分の荷物をどさりと置き始める少年。
流石に座らせてもらえないのは困るのでほたるが急いでそう謝ると、少年は訝しげな表情でほたるの顔を睨みながらも、「しょうがねえな」と渋々その荷物をどけてくれた。
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こめこ(プロフ) - 猫宮さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません…! なんと! 物凄い偶然ですね…!! ぜひ、今後とも夢主の行く末を見守ってやってくださいませ( ´ ▽ ` ) (2020年4月22日 16時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - ウチの考えと夢主ちゃんの考えが一致しとる、すげー((((;゚Д゚))))))) (2019年10月28日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - くーちゃんさん» コメント並びにお祝いのお言葉、誠にありがとうございます( ; ; )全作品を通して更新頻度にばらつきがありますが、これからもそう言っていただけるようなお話が書けるよう頑張って参りたいと思います! (2019年6月29日 19時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
くーちゃん(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます!こめこさんが書くイナイレのお話はどれも面白く、楽しませてもらってます!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年6月8日 4時) (レス) id: 3f70a533d9 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 辺銀ヾ(・ω・`*)さん» のわ〜〜辺銀さん!青い鳥の方ではお世話になっております…! !応援のコメントありがとうございます、これからものんびりと頑張って参りますね( ´ ▽ ` ) (2019年6月3日 21時) (レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこ | 作成日時:2019年3月8日 7時