その31:だいぶ買い被りまくっていらっしゃる ページ33
☆
その後、合宿所に戻りトレーニングを終え、夕食や入浴を済ませた後。
「こうやって……軌道をこうして……コースは……」
談話室のソファーに座り込んで、パソコンの液晶と睨めっこをしながら一人でにぶつぶつと言葉を呟き続けるほたる。
「電子機器を使うから」と耳にイヤフォンを装着しブルーライトカット用のメガネを掛けているその姿は、なかなかに新鮮なものであった。
「……おいおい。一体アイツに何吹き込んだんだよ、鬼道くんは」
ひときわ異彩を放つその姿に、不動は若干引いた様子で顔を引きつらせながらそう零す。
たまたまその場に居合わせていた鬼道は、心外そうに「人聞きの悪いことを言うな」と不動の言葉を否定した。
「俺はただ、彼女に対する認識を改めたというだけだ」
「改めた、ねえ……」
「ああ。監督の言っていた通り、たしかに彼女はサッカーについては完全なる初心者のようだ。だが、彼女にはだからこその日本代表を担う選手としての素質がある」
「試合が終わった後のアイツのあの動きか」
「ああ。彼女はクラリオのダイヤモンドレイを一度見ただけで、すぐにその
耳を塞ぐイヤホンで聞こえていないのをいいことに、鬼道と不動は本人の目の前でありながらも神妙な面持ちで会話を交わす。
インテリジェンスに富んだ二人だからこそ成される、唯一無二の絶妙な会話である。
「本人に自覚は無くとも、分析力に富んでいるんだろう。知識がない故に理屈がわからなくても、彼女は視覚から取り込んだ情報だけでそれを自分のものにすることができる」
「ハッ、どうだかな。結論を出すにはまだ判断材料が少なすぎるだろ」
「そう言ってやるな、不動も騙されたと思って見ているといい。……彼女は化けるぞ。俺たちが六連星ほたるという選手を育てていくんだ」
「ったく、いくらなんでも買い被りすぎだろ」
──試合の後、一体鬼道はほたるに何を言ったのか。ほたるは今、液晶を通して何をしているのか。
結局それは分からずじまいで、呆気なく闇に葬られてしまったのだった。
「(……六連星ほたる、お前は一体何者なんだ)」
「(わかってないねえ、鬼道くん。ボンジン相手にあまり期待を寄せすぎても、どうせプレッシャーに潰されておじゃんになるだけだ)」
その32:風呂上がりのアイスこそ至高→←その30:そりゃあ吹き飛ばされるだろ
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こめこ(プロフ) - 猫宮さん» 返信が遅れてしまい申し訳ありません…! なんと! 物凄い偶然ですね…!! ぜひ、今後とも夢主の行く末を見守ってやってくださいませ( ´ ▽ ` ) (2020年4月22日 16時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
猫宮 - ウチの考えと夢主ちゃんの考えが一致しとる、すげー((((;゚Д゚))))))) (2019年10月28日 17時) (レス) id: a4825ec2c2 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - くーちゃんさん» コメント並びにお祝いのお言葉、誠にありがとうございます( ; ; )全作品を通して更新頻度にばらつきがありますが、これからもそう言っていただけるようなお話が書けるよう頑張って参りたいと思います! (2019年6月29日 19時) (レス) id: 2935309ddd (このIDを非表示/違反報告)
くーちゃん(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます!こめこさんが書くイナイレのお話はどれも面白く、楽しませてもらってます!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年6月8日 4時) (レス) id: 3f70a533d9 (このIDを非表示/違反報告)
こめこ(プロフ) - 辺銀ヾ(・ω・`*)さん» のわ〜〜辺銀さん!青い鳥の方ではお世話になっております…! !応援のコメントありがとうございます、これからものんびりと頑張って参りますね( ´ ▽ ` ) (2019年6月3日 21時) (レス) id: 67fc292324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめこ | 作成日時:2019年3月8日 7時