必死のパッチ！

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*トッポside





「また！怪我して！僕前も…言うた…やんかぁ……ｸﾞｽﾞｯ」



『だって！…いや…あの………ごめんな？しょーちゃん…』




心底困り果てたような顔で僕の頭を撫でるこの子。
その腕や脚には今日も擦り傷をつけてる。


その怪我が遊んでてついた訳じゃない事は知ってる。
Aちゃんは見た目からは想像できないくらい喧嘩っ早い。
…女の子やのに！



優しい、そう言えば聞こえはええけど
Aちゃんは自分に対してあまりにも無関心で。


一回あまりにも納得できんくて問い詰めた事がある。
そしたら、ちょっと困ったような顔して、



『…あんな、ウチの両親…通り魔に殺されたんやって。』


３歳とかやったから、ハッキリとは勿論覚えてへんねんけど
大きな声と、抱きしめられる感覚と、赤い色だけは覚えてんねん…


って床を見つめながら呟いた。
昔、大事件になった連続通り魔殺人事件。
ちょっと調べればすぐに出てくるし、
どっかで耳にしたんやろな。




『ウチが子供やなかったら、２人死なんで済んだかなぁ…
強かったら２人とも守れたかなぁ…？』



それを聞いた時に、Aちゃんが何でそんなに強さにこだわるんか、
ちょっとわかった気がした。
誰かを守る事で、自分の存在意義を見つけようとしてるんや。



『…なんでしょーちゃんが泣くんよぉ…。』


「…Aちゃんのせいや！」



僕は体も小さいし、喧嘩もようせん。
昔から信ちゃんの背中に隠れてた。

何もでけへん僕を、皆見捨てる事なく一緒におってくれる。
よう怪我する亮とAちゃんの手当てとかしてたら、
そういうのだけは得意になった。




ある日、いつもみたいにAちゃんの怪我を治療し終わった後、
すばる君に呼び出された。
…すばる君はあんまり喋らへんし、仲良なったけどまだちょっと怖い。






「……章大、Aの事、よう見といたれ。
アイツは…誰か傍におらなあかん奴や。」





その時の僕は本当に意味がわからんくて、頷くしかでけへんかったけど、
ある日いじめっ子をボコボコにしたって大騒ぎになって
今までで一番怪我してきた姿見て、
Aちゃんと初めて大喧嘩をした。




その日はずっと口もきかんくて、ほんまに腹立ってたから
Aちゃんが謝ってくるまで許さん！
って鼻息荒く布団に潜り込んだ。





翌日、突然Aちゃんが施設から姿を消すなんて、
この時の僕は想像もしてへんやったんや―

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