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いつもより、少しだけ隈が濃い。
私はそんな最終日に似つかわしくない顔で朝からエントランスにいた、キルアも一緒だ。
一時間前から名残惜しさからか、話が途切れることは無い。
話の内容は様々、しかし別れを惜しんでかこの数ヵ月の思い出を振り替えるような内容が多いに思える。
ー ピリリリリ ー
キルアの電話が鳴った。
「もしもし、うん、エントランスのとこにいる。来て。」
耳を澄まして声を聞こうとしたが聞こえない。
どうしよ、早急にここを離れるべきか? 流石にキルアが可哀想すぎるな。
なぜか、無言の時間が続いた。
私は別れと人選が怖くて下を向いていた。
「あ、来た。」
怖い、怖い。
お願いだから、黒髪キューティクルよ、いないでくれ。
意を決して、バッと顔を上げた。
……願い叶わずそこにいたのは、幾分か私の知っている長さより短い髪の能面黒髪キューティクルだった。
最悪の人選だ、イルミだなんて。
今の私の顔は真っ青だろう。
ああ、近づいてくるよ、どうしよ、もうどうにでもなって……。
「キル、迎えに来たよ。」
普通ならばイルミお兄様の声聞こえて嬉しいと思いたいとこだが、緊張と恐怖で心臓は早鐘を打つ。
キルア、お願いだからお別れは手を振る位にしてくれよ。
イルミが何仕出かすか分かんないから。
「……久しぶり、兄貴。」
「うん、久しぶり。じゃ、いくよ。」
イルミがキルアの手を引いた。
「ちょっと待って。……おい、A!俺とまた、会えるよな!」
初めてイルミの目がこっちに向いた。
あの黒々とした目が渦巻いている錯覚に陥る。
こっわ、こっわ、圧凄い、マジでショック死しそう。
でも、ここでキルアを悲しませたくはない。
ちゃんと別れを告げねば!!
頑張れ自分!! 自分を無理矢理奮い立たさせる。
「うん、私は会いたいと思ってる。まだ、キルアは幼いから直ぐには会えないかもしれないけど、いつか会おう。」
私はバイバイと手を振った。
キルアは満面の笑みでずっと手を振ってくれた。
かわいいな。
……イルミの鋭い眼光さえなければ、素直に喜べるのに。
二人が見えなくなったところで、何も言われなかったとホッとした。
闘技場の奥に帰ろうとした、その時だった。
「ねえ君、キルのなんなの?」
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†NANA†(プロフ) - ページ2で、「HUNTER×HUNTER」が「HHUNTER×HUNTER」になっています。 (2021年3月15日 11時) (レス) id: 9dc612bbe9 (このIDを非表示/違反報告)
ミネルバ(プロフ) - ゆーめーさん» 有難う御座います! まあまあ長めの小説なので、先を読もうと思いますと言われると、とても嬉しいです!! 楽しんで読んでください!!! (2020年11月29日 0時) (レス) id: b85da6c807 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーめー(プロフ) - とても面白かったです!続編も今から読ませていただきます! (2020年11月28日 10時) (レス) id: dfce067a28 (このIDを非表示/違反報告)
ミネルバ(プロフ) - ヘマトフィリィアさん» コメント有り難う御座います。個人的にも、能面黒髪キューティクルは語感が良くて気に入ってます。今後も、彼はちょくちょく出てくるので、楽しみにしていてください!! (2020年11月14日 0時) (レス) id: b85da6c807 (このIDを非表示/違反報告)
ヘマトフィリィア - 【速報 能面黒髪キューティクルがイケメン】 (2020年9月20日 12時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミネルバ | 作成日時:2019年7月30日 23時