松野家の義妹【マフィア松】

壱 ページ1

イタリアにある活気のある商店街。

綺麗な服,綺麗な宝石,綺麗な靴で着飾った人々の中一人汚い少女が駆け抜ける。

｢またやりやがったな！この糞餓鬼！！｣

少女の後ろから飛ぶのは果物屋店主の怒号。
裸足で襤褸を着た少女は取った果物を落とさないように持ち直した。
向かうは弟妹の居る路地裏。血の繋がらない弟妹がお腹を空かせて待っている。

活気のある商店街も少し外れれば人気の無い路地裏に変貌する。
薄暗い路地裏の中をぺたぺたと足音が響く。


＿＿＿＿＿＿此処まで来れば,もう大丈夫だ


追っ手が来ていないことを確認し安堵の溜息を着く少女。



＿＿＿＿＿＿さあ,皆が待っている。早く帰らないと。


少女の家は路地裏の中。入り組んだ場所にあり弟妹と自分達しかいない。血の繋がっていない彼らは同じ家に買われていた子達だった。着の身着のまま出てきた彼女らには生きてく上で盗みは必要不可欠であった。

｢＿＿＿＿＿＿人…？｣

少女の視線の先に居たのは気を失っている青いシャツのスーツ姿の男の人。首元には金色のネックレス。手には黒い手袋を着け銃を握っている。大方何処かのマフィアの構成員であろうか。確か前の主人もそうであった。



｢血…｣



打たれたのか腕から血が流れている。よくよく見れば辺りも血で汚れている。逃げてきたのだろうか。
少女は自分の着ている襤褸を破り男性の腕に巻き止血をする。



｢兄さ‐ん？何処‐？？｣

｢全く…世話のやける…｣

｢早く回収して帰ろ‐よ,薄暗くて気味悪い。｣




路地裏に響く声に少女は小さく体を揺らす。
急いで駆けていく少女は果物を一つ落としていた事に気付かない。



｢…可憐なgirlだ｣



いつの間に目を覚まして居たのか,青色の男性は少女の落とした果物を手に少女の後ろ姿を見ながら小さく呟いた。

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