【企画小説】お気に召すまで、ごゆるりと。 (ページ6)

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【3話】ページ6

「classRの1日の始まり」

「みんなおはよう！今日もいい天気だねー」

ぱんぱん、と二度手を鳴らすことで、出欠確認の時間であることを表した。

classRの担任、柳澤慶介のその合図に気づき、立ち歩いていた生徒たちはいそいそと自分の席に着き、しっかりと慶介を見つめる。

慶介は自分の持つクラスの生徒達に微笑み、またおはよう、と言った。

「はい、出欠とるよー！…見ればわかるねー！」

出欠確認ボードを見るまでもなく、クラス全体を見るだけで誰がいるか、誰がいないかくらいなど、もう分かるようになった。

慣れと、人数のお陰だろうが。

「先生ー！」

「ん？」

自分を呼ぶ声に顔を向けると、生徒の篝千鶴が元気に手を挙げている。

「どしたー？」

「今日知華先生どうしたんですか？」

「あー」

千鶴の質問に、困ったように笑みを浮かべた。

確かに、いつも慶介の斜め後ろで静かに凛々しく佇んでいる副担任の楠木知華が、今日は居ない。

なぜ、と問われると。

「昨日仕事を頑張りすぎて、職員室で寝てるね」

誤魔化す案件でもないと、慶介は真実をそのまま伝え、納得した千鶴に「知華先生に内緒な」と人差し指を唇に当てて笑った。

「さて、改めて出欠確認取るよー。宇野リーン？」

「はーい」

キングフィッシャーブルーの色をした瞳で慶介を見たまま返事をしたリーンに、「いつも通り元気だな！」と返した。

「次、篝千鶴ー？」

「はーい！元気でーす！」

このクラスで誰よりも明るいであろう声を張り上げ、慶介ににこっと千鶴は笑った。

慶介も笑い返し、「いつも元気だな！」と同じく返す。

「小鳥遊暦ー？」

「元気でーす」

可愛い見た目の蒼目で見つめてくる暦を見つめ返し、「おまえはいつも可愛い見た目してんな！」とまた返す。

「最後だな、幸初ミントー？」

「はい」

唯一静かに返事をしたミントに、「おまえもいつも通りだな！」と笑った。

「うし、全員いるな。それじゃ、みんな授業頑張れよ！くれぐれも、寝るんじゃないぞー？」

【更新日】
2月21日
【作者名】
キョウ