2.ココアの味は。 (ページ4)

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桃side

赤「も〜話すことない…」

疲れた顔をしてココアを1口飲む先輩。

あれから話をして、先輩が読み聞かせする時に気をつけてる事や子どもたちの反応、読み聞かせする必要性などたっくさん話してもらった。

桃「絵本って大切なんですね…」

俺の知らない保育の世界を話す先輩は、キラキラしてて、すっごく楽しそうに話していた。

赤「大人になってさぁ、あの絵本おもろかったなぁって、思い出してくれると嬉しいやん」

先輩がまだバイトしてた時、保育士なりたいねんって報告してくれたあの日を思い出す。

子どもが大好き、それだけじゃできへんからって

誰よりも勉強して今や保育所でも大人気の先生やでて照史が言ってた。

赤「他なんか質問ある？」

ほとんど埋まったレポート用紙、まぁほぼ先輩が打ち込んでくれてんけど。

桃「んー、保育士めっちゃ楽しそうってことは伝わった」

赤「なんやそれ笑」

楽しいだけとちゃうで〜、とおでこを小突かれる。

赤「小瀧も、何か夢中になるもん見つけれたらええな」

急に甘い笑みを浮かべるから。

桃「……もう、夢中やのに」

いつまで経っても振り向いてくれへん先輩に、

誰よりも頑張り屋さんで真面目な先輩に、

甘くて蕩ける声、艶やかな黒髪、程よく鍛えられた体。

赤「……小瀧？」

今の俺は先輩しか目にないのに。

桃「…先輩も、俺に夢中になりませんか？」