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Shota
なんて、ちょっと気持ちが沈んで、この後の事想像して憂鬱になってたけど、
いざ試合が始まると、もうここまで来ちゃったし応援するしかねぇなって思い始めた。
ここから一人で帰れねぇし、今戻ってもどうせ怒られるから、
どうせなら蓮がプレーしてる姿しっかり見ておこ。
試合見に来れるの、これが最初で最後かもしれないしね。
.
試合中の蓮はすっげーかっこ良くって。
あれからほんとに頑張ったんだなって、逞しくなった末っ子の姿に、
なんか珍しく泣きそうになった。
気持ち切り替えてバスケに振りきるのだって、相当きつかったと思うけど、
ここまでやれるようになって、今楽しそうで本当に良かった。
やったことないからスポーツのことはよく分かんねぇけど、
結構シュート決めてるし、多分上手いんだろうな。
何より車椅子で縦横無尽にコート駆け回ってる蓮は本当にキラキラしてて、
思わず立ち上がって声出して応援してた。
早く不規則になり始めた鼓動には、気がつかないふりをして。
.
無理しすぎたかなって自覚したのは、
試合が終わる少し前。
不規則な鼓動がもっとおかしくなってきて、
酸欠でちょっとふらふらしてきた。
でももうすぐ終わりだし、後ちょっとだけって言い聞かせて、
なるべく丁寧に呼吸をして何とか整えようと必死。
でもそれは、最後の悪あがきでしかなかった。
試合が終わって蓮の無邪気なガッツポーズ見届けたのとほぼ同時に、
バクッと大きく心臓が跳ねて、
そのまま立って居られなくなって、冷たい床に叩きつけられた。
心臓を誰かに思いっきり握り潰されるみたいな激痛が、不規則な鼓動の度に全身に響く。
周りの声は聞こえてはいるけど、返事する所かまともに呼吸することも出来ないのに、
胸の痛みは増すばかり。
どんどんどんどん脈が早くなってるのが自分でも分かって、
相当でかい発作だって理解したら襲ってくる後悔。
まだやりたいこと一杯あるし、死ぬのだってめちゃめちゃ怖いのに、
何でこんな無茶したんだろ…。
蓮が泣いてる声が聞こえてきてるけど、息吸えなくて喋れなくて、
ごめんなって一言も言えないまま。
耐えられない位の激しい痛みを心臓に感じて、そのまま目の前がブラックアウト。
ここに居るはずない阿部先生の声が聞こえた気がしたけど、
気のせいだったかな…。
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作者名：りる | 作成日時：2021年7月11日 19時
