Snow brothers. (ページ37)

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Tatsuya

外来の患者さんが漸く途切れて、やっとお昼食べれるって思った矢先。

大至急病棟戻って来て!って連絡が。

俺の受け持ちで危なそうな人はいないはずだから、

多分翔太だな。

最近調子が今一つで退院延びたのは知ってたけど、悪化しちゃったかな。

相当のことが無いと仕事中に呼び出されることは無いから、

急変も覚悟して、ダッシュで病棟に戻った。

.

翔太の病室向かって走ってたら、

ナースステーションの中からふっか!って呼ぶ阿部ちゃんの声。

ここに居るってことは急変じゃなかった?

でも見るからに焦ってて、何かあったんだってことはすぐに分かったけど、

その後に聞かされたのは衝撃的な事実。

阿「っ翔太が、居なくなった…」

一気に世界が止まったみたいに、沈黙が流れる。

居なくなったってどういうこと…

言葉の意味は理解できても、全然訳わかんなくて頭が大混乱。

「えっ何で…?いつから居ないの??」

阿部ちゃんの話によると、40分位前、昼ご飯のタイミングで病室に居なくて、

トイレかと思って待ってたけど帰って来ず。

病棟内や中庭とかまで探したけど居ないから、外かもって。

あいつ何やってんだよ…。

取り合えず片っ端から弟に連絡しようとスマホ出したら、

阿部ちゃんが蓮君に連絡して欲しいって。

昼前に来てたらしいんだけど…、

あれ、蓮って確か今日…。

頭の中でここ数日間のやり取りを思い返して、電話しようとした手を止める。

阿「どうした?ふっか何か心当たりある??」

今日の午前中に蓮が来てて、翔太が今居なくて…。

正直、心当たりしかない。

「蓮、今試合中だから…見に行ったのかも……」

状況的に見て、多分蓮が翔太連れ出したんじゃないかって思って、

今日までの経緯を全部話した。

.

退院延びて行けなくなった罪悪感から、多分翔太が持ち掛けて、

どうしても誰かに来て欲しかった蓮も、それに乗っかったんじゃないかって言ったら、

皆、絶対それだって。

阿「ふっかこの後外せないし俺今から行くよ。

早く連れ戻さないと翔太が持たない。」

ここから試合会場は割と近いけど、人も多いし翔太にとっては大きな負担。

外せない用があったから、阿部ちゃんに託して病院で待ってたけど、

それからの仕事は全然手につかなかった。