Snow brothers. (ページ11)

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Tatsuya

翔「、、、、、んっ、、。」

阿部ちゃんたちが懸命な処置を続ける事数分。

ベットの上でぐったり目を閉じていた翔太に微かな反応が。

ピクッと指が動いて、小さく唸った声がした。

「翔太～聞こえる?手握れるかな…??」

手握れるようにしてあげたら、指をゆっくり動かして弱々しい力で握り返してくれる。

指先はほんのり冷たいけど、そっと握ってくれる手が暖かくて、

心底ホッとして、張り詰めていた緊張感が溶けていく。

「良かったぁ、頑張ったな。」

頭撫でたら薄っすら目を開けてくれて、瞬きしてちょっと頷いてくれた翔太。

まだ朦朧とはしてるけど、幸いなことに数分で意識は戻ってくれて、

阿部ちゃんも、これなら挿管しなくて大丈夫だねって言ってくれた。

諸々の数値も最悪レベルからは多少改善したみたいで一安心。

当人は変わらず一生懸命酸素マスクを曇らせてるけど、

痛み止めの薬が漸く少し効いてきてくれたのか、少し穏やかな顔になって寝落ちしそう。

阿「ちょっとお部屋移動するよ～。寝てて良いからね。」

まだ容体が安定しきらないから、念の為ナースステーション横の重症個室に入れることに。

ガラガラとベッドごと移動して、

着いた頃にはすっかり夢の中の翔太。

胸がちゃんと上下してることに安堵してると、

阿部ちゃんに、ふっか時間！って言われて…

気がついたら勤務開始の時間から40分近く経っちゃってる。

大慌ててで上司のとこ行って朝から急変対応で、って伝えたら、

弟君でしょ？って言われて完全にバレてたけど、

まぁその為に医者になったんだもんね～って許してくれる上司にはほんとに頭が上がらない。

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元々勉強ができるタイプじゃなかった俺にとって、医学部に入るのは本当に大変なことだった。

それでも医師を目指したのは、弟達。特に翔太のことがあったから。

親を早くに亡くしたこともあって、長男として弟達を守れる人になりたいと、

ずっとそう思ってきた。

特に家の兄弟は何かしらのハンデを持ってるのが殆どだから、

全員が元気で普通に過ごせる日は多くない。

だから医療知識をちゃんと持って、少しでも弟達が普通の日常を送れるように、

何かあったら助けてあげられるようになりたくて医者を目指した。