dear for you. (ページ23)

今日:28 hit、昨日:24 hit、合計:78,794 hit

. ページ23

Tatsuya

お情け程度の痛み止めと解熱剤を飲ませて朝一で訪問看護の先生に診て貰ったら、

お兄ちゃん達ちょっと来てってリビングに呼び出された。

翔太君には聞こえない方が良いからって先生の言葉でもう全部理解出来てしまった自分がいたけど、

まだ覚悟なんて出来ないでいた。

医「肺炎だね、もう酸素の数値が大分落ちてる………」

先生は淡々と事実を教えてくれた。

翔太は重い肺炎にかかっていること、ここからの回復はまず無理だろうということ、

そして、今日中に呼吸が止まる可能性が高いこと。

言葉の意味は理解出来ても、ただ現実が苦しくて、

視界は勝手に歪んでいく。

医「延命はもう……このままお家で良いよね?」

でももう翔太にしてあげられることは限られてるから、

先生の言葉に必死に頷いて、出来る限り翔太の苦痛を無くしてあげて欲しいとお願いをした。

翔太に嘘をついて帰ると決めた時にはもう、最期は家で看取ると決めていたのは、

小さい頃から恐がりで甘えただった翔太の為。

その時に怖い思いをさせたくないってずっとずっと思ってきたのに、

いざその事実が直に来ると涙が止まらないのは俺の方。

何とか翔太のいる部屋の前には行ったけど、翔太の前では泣きたくなくて中に入れなくて、

一人でただ泣いてる時頭を撫でてくれたのは、唯一秘密を共有した大介だった。

辰「俺は良いからっ、、翔太のとこ、、、」

大「大丈夫、翔太は涼太がついてるよ。涼太俺がいるから辰哉のとこ行ってって。あいつも分かってんだよもう……」

まだ現実から逃げてる俺より皆の方が覚悟が決まってるのかもしれないけど、

大介だって手が震えてるから余計に俺も止まらなくなる。

大「俺だって怖いよ、でもそれは翔太も涼太もちび達も皆一緒だから。皆怖いの。

でも今ここで泣いてるなら翔太の側いてあげようよ。今なら隣にいられるんだから。」

入院中何より一番辛かったことは、

苦しくて泣いてる翔太の側にいてやれなかったこと。

治る見込みが無いのに一人ぼっちで辛い治療を頑張らせ続けるのが本当に辛くて苦しくて、

だから一緒に家に帰ってきたんだ。

最期は翔太の帰りたがってた家で、皆で過ごせる様に。

泣いてばっかの不器用な兄ちゃんでも良いから、せめて側にはいてあげたいって、

あの時も今もそう思ってたから。