dear for you. (ページ21)

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Tatsuya

冬休みには近場だけど本当に久しぶりの小旅行。

前旅行行ったのなんて本当に何年ぶりって感じだし、

蓮なんて小さかったから前のこと覚えて無かった位だったから最期に皆で行けて良かった。

年越しだって翔太全然元気で爆睡したちび達傍らに四人で夜更かししてテレビ見たりして、本当に楽しかった。

去年もその前も、吐き気と高熱にやられて翔太は年越しどころじゃ無かったし、

大介と涼太も家でちび達の面倒見ながらわさわさ色々やってくれてたもんね。

今年は本当に穏やかで、ただ幸せな時間だった。

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康「なあなあ、しょった君はりょった君と同じ高校行くん?りょった君お勉強やって。」

年越しから少しすると涼太は受験勉強の時間が増えて、

相手して貰える時間が減った康二は翔太にひっついてる時間が増えて、しょった君はお勉強しーひんの?って。

翔「高校……えっねぇ俺どうする?」

辰「うーん、とりあえず一年は休憩して良いんじゃない?追い付かない所もあるし、ゆっくりやれば良いよ。」

治療期間、一応院内学校に籍を置いていたけれど雑菌が天敵の翔太は数える程しか通えてなくて、

普通の子達の半分も勉強出来てない位。

それに本人には言えないけれど、阿部ちゃんから言われていた時間はもうとっくに過ぎていたから、

高校のことを考えられるなんて思ってなかった。

聞かれた時は適当に誤魔化したけど、今も元気で居てくれる翔太がいるなら、

通信とか無理ない学校探しても良かったのかな。

気付いたらそんなことまで考えてたお気楽な俺は、翔太の頑張りに甘えて又一つ夢を見始めていたけれど、

それでも少しずつ病気が又牙を剥き出したこの頃。

熱を出して寝込むことが増えてきた翔太。

抵抗力が無いから仕方ないことだけど、もう余命を過ぎている以上発熱は命に関わることで、

俺達も心が揺らいで休まらない期間が続いた。

訪問看護の先生に診て貰って、お薬飲ませて背中擦ってあげること位しか出来ないけどでも、

康「しょった君お熱?康二元気あげる!」

蓮「れんもぉ!」

もう翔太と俺達の間に、無菌室の分厚いガラスは無かったから。

ちび達から手ぎゅーして元気を沢山貰った翔太。

翔「ふはっ、、んっ。ありがとう。」

きつそうな顔がほんの少し、緩んでいった気がした。