dear for you. (ページ19)

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Daisuke

翔太の背中や胸を擦って寝かし付けてる辰哉は、兄を通り越して最早親の顔。

入院してた頃は面会出来ないことも多くて、苦しいって泣いてる翔太の涙を拭ってあげることも出来なかったから、

家では一緒に居れてお互い安心出来てるのかな。

翔太もそこまで長引かずにすっと眠れて良かった。

なんかでも辰哉は少し悩んでそうで、

まだどこか思い詰めてそうな感じ。

辰「ねぇ、これで良かったと思う?」

暫く眠った翔太の背中をとんとんして、弟達もぐっすり寝てる夜も深くなった時間。

静かだった部屋に、辰哉の声が響く。

本当にこれで良かったのか。

これが翔太の望んでいることなのか。

家で看取ると決めて覚悟はしてきたつもりだけど、

やっぱり悩むのも分かる。

大「じゃあ今更翔太に言って病院戻るの?それは出来ないじゃん。今出来ることやってあげよう。」

でも俺達は一度翔太にも弟達にも大きな嘘をついちゃったから、今更引き返せないのが現実で。

今を出来るだけ楽しく過ごして貰える様にするしか無いんだろうね。

今日のはその一歩に過ぎなくて、

これからも今まで出来なかったことが出来るはずだし。

大「康二も蓮も喜んでたんだよ。翔太もだけど、辰にいもお家にいるんだって。」

入院中は辰哉が翔太に付き添って、俺が家で弟達の面倒を見るってことが多かったから、

寝るのが早いちび二人は必然的に辰哉とも離れ離れになる時間が長かった。

我が儘言ったりすることは無かったけど、辰哉のことも勿論大好きな二人はそれなりに寂しい思いをしたと思う。

だから家に帰ることは翔太だけの為じゃないし、

在宅で看取る決断をしたのは辰哉。

病気になってから一番近くでずっと支え続けた張本人が決めたことだし、

もうこれ以上苦しい思いをさせたくないんだって痛い程伝わってきたから、俺が口を挟む余地はもう無かった。

怖がりな翔太に余命を伝えるなんて残酷なこと、絶対出来ないって思ったし。

大「楽しいこと一杯やろ。今まで出来なかったことも、翔太がやりたいことも全部。」

静かに頷いた辰哉と二人で約束したこの日。

俺達6人兄弟皆の、

ちゃんと生きて、ちゃんとお別れする為の時間が始まった。