trouble.31 目に映るモノ。 ページ33
社長サンが云い終えた後、国木田サンに自己紹介を促された麦わら帽子にオーバーオール、更には裸足の少年がクラッカーを持ちつつにこやかに自己紹介をした。
「はいッ!僕は宮沢賢治です!宜しくお願いします!!」
…元気だなぁ、と思うのは矢張り歳を重ねているのを実感しているからだろうか。…まだ17歳だが。
宮沢サン、ですね、と云うと相手は賢治と呼んで下さい、と少し強制っぽく云ったので仕方無く賢治サン…いや、賢治クンと呼ぶ事にした。
なんとなく下の名前にサンを付けると偏見かも知れないが女子っぽい様な感じがするからだ。
次に賢治クンの隣で同じく笑顔を周りに振り撒く白髪の青年が口を開く。
「僕の名前は中島敦と云います!まだ入って余り経っていませんが頑張りますので宜しくお願いします!」
白髪なんてほぼ老人以外に見た事がないものだから、染めているのか、と思ったが聞かない事にした。
理由は少し礼をした時に見えた生え際が黒くなかったからである、…と云う事は地毛だ。なんか凄い気がする。
あと何と呼べば良いのか分からなかったので取り敢えず賢治クンと同じ様に敦クンと呼ぶ事にした。
当の本人は自分に質問をしたそうだったので、質問を云うように声掛けた。
すると少しモジモジとたじろぎ、顔を赤らめながら話す。
…ん?ヘタレか?
「…し、初対面で、失礼かも知れませんが、…歳は幾つですか!」
「…じゃあ逆に何歳に見えます?」
決してSの積もりでは無いが何だか心が擽られる気がしたので少し虐めてやろう。
ふと思ったが、…コミュニケーションって大事だよなぁ。
「えーっと、…二十歳過ぎぐらいですか」
自分の歳を三つも上回るものだから悲しみを通り越して面白かった。笑いが溢れる。
それだけ大人っぽく見られていると云う事だろうか。…そう考えると嬉しい。
でもそれとこれとは別だ。
コレだけは云わせて呉れ。
「…そんなに老けている様に見えます?」
訊ねた時に敦クンのあたふたした顔が見られたのでまぁ許すとしようか、何て思う自分は周りからすると矢張りSの様に目に映っている事だろう。
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梓(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時