trouble.30 入社。 ページ32
二度目の長い事情聴取を受け、げっそりとしつつ武装探偵社に帰る。
このドアを開くのも二度目か…と思いながら沈んだ気分で入室すると、パーン!と急に破裂音が耳元で複数鳴るから五月蝿いッたらありゃしない。
更に云うと破裂音の正体はクラッカーで、持っているのは武装探偵社の方々であろうキャラの濃そうな人達。
真逆、と思い前を見る。
そこにはカラフルな装飾に彩られた大きな幕が垂れ下がっており、“柊蓮君入社御目出度う”と云う文字が綴られていた。
「…あれ、決定事項なんすか此の流れ」
「勿論だよ蓮君」
即答で答える太宰サン。
もう引き返す事は出来ない、か。
「だって君仕事探してるんでしょう」
話が早い…クエスチョンマークぐらい付けろよ、と思ったがそこまで読まれているなら仕方ない。
「あーあー、もう分かりました入社します」
「そう云って呉れると思ってたよ流石蓮君ッ!」
ニコニコと満面の笑みで返す太宰サンは、これで仕事を押し付けられるとでも思っているのだろうか。
押し付けた場合は辞めてやる。
「主が柊蓮か」
そう呟くと国木田サンに社長、と呼ばれた秀麗な男性が自分の後ろに立っていた。また知らない間に。
威厳に満ちた態度で立ち、空気を全てモノにする様な良く通る響いた声で話すものだから、自分は久しぶりに少し緊張した。
「…は、はあ」
「主の働き、実に見事であった。
無事入社試験に合格したので武装探偵社への入社を認める__柊蓮」
「…入社試験?そんなモノ受けましたッけ?」
見覚えがなかったので少々顔が歪み口が悪くなったが、まあ何時もの事だ。
そんな事より入社試験。
「さっきの護衛の事件だよ、蓮君」
「…あ、そうだったんすか、
……それより、社長サンのお名前__と云うかこれから共に仕事をするであろう武装探偵社の社員サン達の名前を伺いたいんですが」
「嗚呼、
私の名前は__福沢諭吉だ。此の武装探偵社の社長をしている」
福沢諭吉。
なんかすっごい聞き覚えがある、と思ったのは云うまでもない。
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梓(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時