trouble.26 鶴の一声。 ページ28
黒に染った外套をはためかせ、咳の音を響かせてやって来る男。
近付くにつれ、微かに硝煙の香りが鼻腔を擽る。
この匂いがするという事は、太宰サンが“マフィア”と云ったのにも理由がつく。
あと敵の応援が来たのは恐らく気絶させたであろう連中の中に未だ意識を持つものが居たということか…
と色々とそうこう考えているうちに、男の姿がシルエットでは無く鮮明に見えるようになってきた。
「…貴様は、ポートマフィアの芥川龍之介ッ!」
__芥川龍之介。
国木田サンがキッ、と睨みつけた先は矢張り文豪の名を持つ人物だった。
「然り。
…今日は貴様ら武装探偵社に用は無い、そこに居る男を寄越せ」
国木田サンには目もくれずに芥川サンが指指した先にあったのは__自分では無く、依頼人おじさんだった。
「…ッな、」
国木田サンは終始驚いている様子だ。そのせいで依頼人おじさんも指指されて怯えてる。
二人共もう少しゆとりを持ちましょうよ太宰サンみたいに。
…ッてゆーか太宰サン何処行った?
キョロキョロと辺りを見渡すと直ぐに見つかった。
太宰サンは国木田サンに依頼人おじさんを守るよう云われていた筈なのに、高みの見物の様に密かに此方を眺めていた。
「芥川君」
此方の少々のピンチに気付いたのかは分からないが、太宰サンは鶴の一声を放つ。
すると芥川サンは太宰サンが居ると思ってもみなかったのだろうか、居ると分かった瞬間態度が威厳の様なものではなく少し挙動不審の様なものに変わった。
なんだなんだ?知り合いか?
「__太宰さん、」
自分は全く関係性を読み取ることが出来なかったが、相当関わりがあったのだろう。
なんだか上司と部下的な感じ___
「…芥川君、何故君達ポートマフィアがこの人を狙っているのか教えてくれないかい」
ニコリと微笑みながら尋ねる太宰サン。
その目には光が灯っていなかった。
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梓(プロフ) - ルルナナさん» ありがとうございます!!これからも面白くしていけるよう精進して参ります! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 73b249ebe7 (このIDを非表示/違反報告)
ルルナナ(プロフ) - とっても面白いです!応援してます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: f75b5a5c4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梓 x他1人 | 作成日時:2019年1月21日 0時