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逃げ出した開久の背中を見送り、さて本題だ。
今井くんの魂胆は明美ちゃんにバレた…それでなくても多分振られるだろーな。
見つめ合う2人とグスグスと泣いているヤサ男
テメーは何で泣いてんだヨ
「あの、今井さん」
明美ちゃんに呼ばれびくりと肩を跳ねさせ、顔を赤くしてぎこちない微笑みを浮かべる今井くん。
あーあ期待しちゃって…
「ごめんなさい、こんな頼りない奴でも好きなんです」
「あぁ…うん」
見ていられずその場にいた全員(三橋以外)が顔を背けた。可哀想すぎる
「そんなんでも良かったら…トモダチに」
少し震えた声で手を差し出した明美ちゃんを数回瞬きをして見ていた今井くんはその手をガシッと握った。
「もちろんだ、俺こそありがとう」
目を輝かせ嬉しそうに笑う今井くんはどこまで良い奴なんだ。まぁ、ひとつ残念なところをあげるなら『女子の友達が出来たぜ!』という思いがモロ顔に出ているところかな
「御三方もありがとうございました」
「…ありがとうごさいました」
仲良く手を繋ぎながら帰る明美ちゃん達カップルを見送り、俺たちも帰るかと工場を後にした。
夕日に染まる河川敷
きれいだなーなんて眺めながら歩いていると、はたと足を止めた伊藤くんが頬を掻きながら言った一言に全員固まった。
「開久あんだけボコって平気かな」
このすっきりとした気持ちのまま帰りたかったのになぜ言ったんだ、全員が思ったことだろう
「伊藤テメーそれを言うんじゃねーヨ、今皆考えないようにしとったのに」
「でもよ…」
「はーヤダヤダ、俺ツッパリじゃねーのにここ最近喧嘩ばっかしてるヨ…巻き込むなよな」
「勝手に巻き込まれに来てよく言うぜ」
「なんかあったら手貸すから安心しな、友だちだぜ」
「前回も今回もお前が原因じゃボケァ!」
見事に今井くんの顔面へ飛び蹴りを決めた三橋
素早く起き上がった今井くんが三橋の頭を殴ったことで喧嘩が始まった
「平和だなあ」
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作成日時:2019年10月4日 23時